551の2『自然と人間の歴史・日本篇』ベーシックインカム(BI)(そのメリット)
そこで、現下の賛成論から紹介しよう。
一つめは、原則論でいうならば、個々人の収入、資産などを調べる必要がなく、各人による申請に基づく審査も原則的には必要でない。したがって、行政コストが大幅に減らせるという。この考えでは、裕福な者に対しても、そうでない者と同様一律な支給をするというのは、「おかしい」とはならないらしい。受け手としても、審査で選別されるのでないから、気が楽ではないか。受けて同士で話もしやすい。
二つめは、直接にカネが渡されることから、可処分所得が増えるので消費拡大が可能になろう、ひいては景気回復に力となろうという。
三つめは、無収入になる不安がないことから、暮らし方、働き方の選択肢が広がるのではないか、ひいては、例えば非正規雇用問題の緩和に役立つのかもしれないという。
四つめは、当座のカネがあることになるので、慌てて次の仕事を探さないでもよかろう。慌てると、いい加減な仕事にしかつけない。
五つめは、失職を恐れて無理をして働かなくてもよいので、その分、心と体が楽だ。
六つ目は、消費税の逆進性への防波堤になりうるのではないかと。
七つ目は、貧困対策に役立とう。
八つ目は、これをもって社会保障制度の簡素化につながるであろうし、さらにまた、こういう制度でもって従来策を束ねることでを、行政の簡素化、コストの低廉化につながるだろうという。
九つ目は、現行の社会保障制度のうち、例えば生活保護制度の申請ができるのは、親族内で生活援助できないという証明か必要になるとかで、各自治体によりかなりの差がある。
十番目としては、「完全BI」といって、ゆくゆくは年金や生活保護などを一本化して、この中に社会保障関係を統合していくというプランを掲げる。そうなれば、かえって社会保障制度としてのまとまりが出て、憲法条項との整合性が、とれるのてはないか。 いずれにせよ、「健康で文化的な最低限度の生活費」の水準をどのようにして認識するかが、問題となろう。
十一番目は、今回の新型コロナ下で、国民への一斉給付が行われている。ベーシックな給付の下地ができているなら、安心だ。生体認証のあるカードを持っているなら、安全かつ迅速に個々人にちゃんと現金なりが届くのではないか。
(続く)
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