♦️279の12『自然と人間の歴史・世界篇』幾何学の発展(19世紀中頃、ガウスからリーマンへ)

2021-05-26 21:51:26 | Weblog
279の12『自然と人間の歴史・世界篇』幾何学の発展(19世紀中頃、ガウスからリーマンへ)

 ドイツの数学者カール・フリードリヒ・ガウス(1777~1855)はは、曲線と曲面の研究に徴分積分学を応用した。曲面の性質のうちで、曲面の長さを変えない変形で不変な性質の研究を行う。

 ガウスの弟子ベルンハルト・リーマン(1826~1866)は、ドイツの数学者だ。
解析学、幾何学、数論などを研究する。有名どころでは、曲面上の幾何学、つまり二次元の曲った空間の幾何学を拡張して、一般の次元の曲った空間の幾何学の研究を行う。

 1850年頃に確立されたと言われるリーマン幾何学( Riemannian geometry)とは、リーマン計量や擬リーマン計量と呼ばれる距離の概念を一般化した構造を持つ図形を研究する分野である。かかる図形を、リーマン多様体、擬リーマン多様体という。
 
 ドイツの理論物理学者アインシュタインは、このリーマン幾何学を利用して、一般相対性理論の説明を行う。
 具体的には、楕円・放物・双曲の各幾何学は、この幾何学では、曲率がそれぞれ正、0、負の一定値をとる空間(それぞれ球面、ユークリッド空間、双曲空間)上で説明される。

 アインシュタインは、重力、即ち、一様ではなく湾曲した時空を記述するのに擬リーマン多様体の枠組みが有効であることを見いだし、次のようにいう。

 「一般相対性理論が狙いとした第一のものは、それ自身のなかで一つの閉じたものになるという要求を断念することによって、できるだけ簡単なやり方で「直接観測される事実」と結びつく可能性のありそうな一つの暫定的な考え方なのであります。ニュートンの重力理論は、それ自体を純粋に重力に関する力学に限定することによって、そのようなものの一つの手本を与えるものでした。この暫定的な考え方を次のように特徴づけることができます。
 (1)質点および質量という概念は残しておくことにします。それにたいして一つの運動方程式が与えられますが、それは慣性の法則を一般相対性理論のことばに翻訳したものにほかなりません。この法則は一組の全微分方程式の形をとり、それは測地線(最短曲線)を定義することになります。
 (2)ニュートンの重力による相互作用の法則の代わりになるものとして、g(○○)というテンソル量にたいして設定できるもっとも簡単な、一般共変性をみたす微分方程式の組を求めることになります。それは一回縮約されたリーマンの曲率テンソルを0とおくことによってつくられます。」(アインシュタイン「物理学と実在」、湯川秀樹・井上健編集「現代の科学Ⅱ」中央公論社、1970、「世界の名著66」に所収))

 リーマン幾何学はその他、変形の理論、電気工学などにも応用が広くなっているとのこと。ちなみに、彼の教授までを務めていたゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲンは、あとになって物理学かどに大きな貢献をする数学を育んだ歴史を持っている。それは、ドイツのニーダーザクセン州ゲッティンゲンに位置する大学であり、1737年、当時のハノーファー選帝侯ゲオルク・アウグスト(英国王としてはジョージ2世)によって1737年に設立されたことから、この名前がある。



(続く)

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