5日、仕事の下見で訪れた小金沢連嶺(こがねざわれんれい)。
山梨県甲州市と大月市(一部は小菅村)にまたがり、大菩薩峠の南・石丸峠から湯ノ沢峠へと南下するこの尾根道は、開放感あふれるササ原と濃い針葉樹林が魅力の静かなコース。山麓には甲斐武田氏の悲話も。
・天候/晴れ
・行程/小屋平9:10-石丸峠10:00/10:10-小金沢山11:10/11:25-牛奥ノ雁ヶ腹摺山12:00-黒岳13:00/13:15-湯ノ沢峠13:57
登山口は、甲州市・小屋平(こやだいら)。この場所で標高1590m(国土地理院地形図より=以下同)。
ここまではNさんに車で送ってもらい、感謝。
芽吹きのカラマツ林が爽やか。
樹林帯の急な登りをクリアすると…
南側の視界が開けました。同連嶺の最高峰・小金沢山(こがねざわやま・2014.3m)が端正。
石丸峠(1930m)。
この牧歌的風景に身をおく気持ちよさ!のんびりと過ごしたくなる気持ちがよくわかります。
バックは熊沢山。このピークを挟んで北側に、大菩薩峠があります。
小金沢山を目指し縦走開始。
西に…
上日川(かみひかわ)ダム(大菩薩湖)と、その奥に南アルプスの銀嶺。北の甲斐駒ヶ岳~南の赤石岳方面まで望むことができました。
現・甲州市大和町(やまとちょう)田野地区の日川(ひかわ)周辺は、甲斐武田氏終焉の地。「新日本山岳誌(日本山岳会編)」によると、天正10年(1582)、織田・徳川の軍勢に追い詰められた武田勝頼と北条夫人、信勝の親子三人を含む主従数十人が、この地で最後の戦いを繰り広げたそうです。「この戦いで両軍が流した血は日川を三日間赤く染めたといわれ、別名を三日血川という」。
そして東には…
どこかで見たことのある風景…?
そう、奥多摩の山々が連なっていました。真ん中奥の尖ったピークが大岳山(おおたけさん・1266.5m)。そのすぐ左に御前山(ごぜんやま・1405m)が寄り添い、右側には三頭山(みとうさん・1531m=中央峰)の姿も-奥多摩三山が揃い踏みです。
大菩薩山塊と奥多摩の位置関係を考えると不思議はないのですが、こうして見ると「近い…」。嬉しくなりました。
小金沢山の登りにかかると…
一転、うっそうとした亜高山帯針葉樹林に。コメツガ、シラビソ、トウヒなどからなる森林(もり)と足元を覆うコケが奥深い山の雰囲気を演出。その黒い森林に彩りを添える…
バイカオウレン(梅花黄連/キンポウゲ科)の清楚な白を味わいながら、抜けたところが…
小金沢山山頂。気温15℃は快適。
山頂南側の樹木の立ち枯れを気にかけつつ、南進し…
牛奥ノ雁ヶ腹摺山(うしおくのがんがはらすりやま・1990m)へ。
ユニークな山名。「雁(ガン)は尾根を越える時、できるだけ低く飛ぶ。腹をするように飛ぶか、よちよち歩いた」と伝えられ、同時にすぐ西に「牛奥という小さな集落があり…(中略)…牛奥は牛を置く、つまり牛の牧場という意味もあるという」(同山岳誌)ことなどから命名されたようです。
ちなみに、この山系だけで八つの「雁ヶ腹摺山」があるそうですが…?
さらに南へ。「濃い針葉樹林に包まれている」黒岳(くろだけ・1988m=写真左)を目指します。
足下に…
ヒメイチゲ(姫一華/同)が開花。
黒岳山頂。名前の通り、樹林に覆われて展望はありません。にも関わらず…
一等三角点に得した気分。(笑)
ここからは、湯ノ沢峠へ向かい高度を下げましたが…
この光景に鳥肌が立ちました。ニホンジカの樹皮剥ぎです。
小金沢山南面の立ち枯れが、脳裏に蘇りました。黒岳が将来、「黒岳でなくなる日が来るかもしれない」不安に駆られます。
樹林を抜けると再び…
南面の展望が一気に開けました。この変化に富んだ景観が、楽しい。
真正面に富士。五合目以上の地肌が見えており、私たちが4月下旬に訪れた時に比べると雪解けがかなり進んでいるように見えました。
湯ノ沢峠(1640m)着。直下まで通じている林道終点に…
旧大和村による避難小屋も。
中は明るくて清潔。
近くにはトイレと水場もあり、快適過ぎず不便すぎず…避難小屋として必要十分な設備に好感が持てました。
ここ湯ノ沢峠でもNさんのお迎えあり、感謝。
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