多摩、ときどき山

多摩の暮らしと山のブログ

GWの遭難と瑞牆山

2012-05-09 19:57:12 | 山のこと

7日、仕事の下見で訪れた奥秩父/瑞牆山(みずがきやま・2230m)

山梨県北斗
(ほくと)市に聳える花崗岩の岩峰群は、比較的なだらかな山容の多い奥秩父にあって抜群の存在感を放っています。

このゴールデンウイーク(以下、GW)に発生した北アルプスでの大量遭難は、高山における春山の難しさを改めて私たちに問いかけました。ここ瑞牆山でも今月2日と5日に、滑落と道迷いがそれぞれ発生。今や登山口周辺に公園や遊歩道が整備され気軽に入山できる山ですが、「落とし穴」があちらこちらに潜んでいるのを実感しました


・天候/曇りのち晴れ
・行程/瑞牆山荘P4:50-富士見平5:35/6:20-瑞牆山8:10/8:40-不動の滝10:00/10:15-林道終点11:05/11:15-みずがき山自然公園11:45/12:40-瑞牆山荘P13:27

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標高1520m、瑞牆山荘駐車場を夜明けとともに出発。今回の同行者は、“感謝の人”Nさん。

GW明け、駐車場の車は私たちのものを含めて2台だけでした。

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登山口。
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カラマツ、シラカバに
ミズナラなどの広葉樹が混じる森林(もり)は明るい。

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オオカメノキ
(大亀の木/スイカズラ科)の花が咲き始めていました。今年初めて。

葉によく虫が付くので別名ムシカリ(虫食われ)とも。どの山域でも、不思議に1500m前後から姿を見せる落葉小高木。どこか癒される樹木です。

P1110677
1722m標高点のある尾根上まで上がると、目指す瑞牆山が見えて来ました。

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富士見平小屋
(1810m)。

質素な外観ですが、管理人の相川氏ご夫妻が昨年4月からコツコツと手を入れられて、復活させた内部は清潔で快適。
電気がなく、「ランプの小屋」というのも気に入りました。

相川氏はかつて瑞牆岩峰群のルート開拓をされた根っからの岳人。話をしていると、この山域に精通され、この山を想う気持ちが伝わって来ます。近年の登山者のモラルやガイド登山の問題点などを指摘され、私も気が引き締まりました。

最近、瑞牆山で道迷い遭難が多発しているそう。5日にも、ボルダリング
(ロープを使わないクライミングの一種)のアプローチ道へ迷い込んだ夫婦が行き詰まり、救助されたばかり。確かにここまでの道すがら枝道があちらこちらに走っており、私たちも「おそらくボルダ-の道やろうね…」と話しをしていたところでした。

現在警察に申し入れているそうですが、誰でも気軽に入山できる山だけに、ロープや石積みで登山者の動線を明確にする必要性を、私も感じました。

この富士見平小屋、今度は宿泊して、ゆっくりお話しをさせてもらいたいものです。

小屋から北の天鳥川へ一旦下り、登り返します。

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大きな桃太郎岩?を皮切りに…
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個性的な花崗岩たちが、次から次に出迎えてくれました。

大ヤスリ岩
(写真)、トサカ岩、カンマンボロン…一つ一つの岩に名前が付けられています。

傾斜が次第に急になり…

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視界のない亜高山帯針葉樹林の岩場が連続。

この周辺もやはり枝道が多く、どうコース取りしたものか考える場面が多々ありました。

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山頂西側直下に出ると…
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登山道はスケートリンク状態。森林限界を超えていないため陽が当たらず、雪が解けにくいのが原因のようです。

細心の注意を払いながら、ひと登りで…
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山頂へ。
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樹林帯から一気に飛び出し、爽快な気分。南東に…
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奥秩父の盟主・金峰山
(きんぷさん・2595m)が大きい。北面はかなり残雪があるようです。

北西正面には…
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八ヶ岳連峰。最高峰・赤岳
(あかだけ・2899m)が中央に聳えます。

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樹林帯からニョキニョキ生える岩塔群。この山の特徴がよく表れている風景。

軽アイゼンを装着し、北面の不動滝方面へ下山開始。予想通り…
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登山道は氷、氷…の連続でした。

2日には、山頂付近で滑落死亡事故も発生した瑞牆山。直接の原因はわかりませんが、事前にインターネットで拝見していると、GWに「アイゼンがなくて恐ろしい思いをした」「少し滑落した」といった報告が多いのが気になっていました。

この時期の奥秩父2000m級の山に登るのであれば、使う使わないは別にして、軽アイゼンをザックに忍ばせておきたいものです。自然の中で行う登山では、動けなくなったら遭難です。街中のように、救急車がすぐに駆けつけてくれるわけではありません。ちょっとした「用心深さ」が、取り返しのつかない悲劇を防いでくれることもあるのです。

この北面の氷が解けるのには、もうしばらくかかりそうです。

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標高1830mにある不動滝。落差40mほど。巨大な花崗岩の一枚岩を滑るように流れ落ちる姿は、かなりの迫力でした。

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管理棟や芝生広場が整備されたみずがき山自然公園(1470m)へ下山。ここで初めて瑞牆山の全貌にふれることができました。

麓がどんなに整備されていても、この山を舐めてはいけません。


最後になりましたが、北ア/白馬岳で犠牲になられた6名の方をはじめ、このGW中に全国の山岳で亡くなられた方のご冥福を、そして負傷された方の一日も早い回復と社会復帰を心からお祈りしています。











































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