本日、猛禽(ワシタカ)類調査の仕事で西多摩郡奥多摩町へ。そこで、胸の痛む出来事に遭遇しました。
JR青梅線・古里(こり)駅周辺。
そこで出会ったのが…
おわかりですか?望遠鏡で覗くと…
タヌキ(狸/イヌ科)でした。さらに拡大…
成獣よりもひと回り小さかったので、まだ若い個体でしょうか。
私がいる場所の10mほど先からトコトコと歩いて出てきたので、最初はびっくりしました。が、それ以上にショックを受けたことがあります。
餌に乏しい冬季。ある程度痩せているのは仕方ないのですが、このタヌキ…
・決して眠っているわけではありません。この眼で、私をじっと見つめていました⇒まぶたがちゃんと開いておらず、眼の病気?
・再び歩き始めた時に見えた身体の右側、肩や後ろ脚周辺の毛が抜け落ちていました⇒疥癬(かいせん)症?
・右後ろ脚がなく、三本の足で歩いていました⇒脚を一本失ったか、折れている?
満身創痍という印象で、この先生きていけるのだろうか…と考えると、気持ちが沈みました。
昔から人里近くで生活し、私たち日本人にとってはお馴染みの動物。最近、特に疥癬症の個体をよく見かけるようになりました。皮膚にヒゼンダニというダニが寄生して痒みが発生し、掻きむしるため毛が抜け落ちる症状。悪化すると全身の毛が抜け落ちて皮膚がひび割れ、とてもタヌキとは思えないあわれな姿で、最後は死に至るものも多いと聞きます。
「タヌキやキツネで発生している疥癬症がペット由来なのか、それとも元々自然界に分布していたのか、という議論があります。これまでに行われた研究結果からは、はっきりとした結論は出ていません。ただ言えることは、人間の自然破壊によってタヌキやキツネが生息場所を失った結果、生息密度が高まったり、ゴミや餌付けのために集合したりして接触機会が増して感染リスクが高まった状況があると考えられます。」(公益社団法人・日本獣医学会HPより)
これは、ぺットを含めた人間社会と野生動物たちが近付きすぎると、深刻な問題が起こり得る事例です。この個体も、人をあまり恐れないところを見ると、最初は餌付けをされたか、あるいは人間が出したゴミを漁っていたのかもしれません。
野生動物は、ペットではありません。自分たちで生き抜く術を持っています。「かわいいから」「かわいそうだから」という人間側の勝手な憶測と自己満足で、無責任な餌付けは絶対にしないでほしいものです。ゴミの放置も然り。このタヌキのように深刻な病に罹ったり、人慣れしたことで人間に危害を加えるようになり、駆除される不幸な生命が、日本全国で出ているのです。
いま求められているのは、彼らがいつまでも生息できる環境を残していくことなんですよね。
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毛も抜けてるというか、乱れて艶のない可哀想な状態の狸です。
ブログの写真を見て同じだと思いました。
まだ、狸が近場にいること事態感動的なのに、寂しかった…です。
写メ撮りました。家の周辺では最後の狸かもしれないし。