昨日19日(祝)、登山イベントの仕事で山梨県甲州市の黒川鶏冠山(くろかわけいかんざん・1710m)を訪れました。ブナやミズナラなど広葉樹中心の森林(もり)は東京都の水道水源林。歩道もよく整備されており、梅雨明けの快晴の下、25人の参加者とともに柳沢峠‐山頂‐落合コースを、のんびりと歩きました。
沢沿いは、サワグルミ、シオジ、トチノキなどの渓畔林(けいはんりん=山地の谷沿いや斜面に広がる林)が見事です。
「黒川鶏冠山」とは面白い名ですが、山頂付近を遠望すると、尾根筋の三角点~展望台ピーク(1716m)~鶏冠神社奥ノ院(1710m)の凹凸が、鶏の鶏冠(とさか)のように見えるために名付けられたそうです。
残念ながらここではその写真がないので、展望台ピークからの絶景を。
北側は、奥秩父主脈の山々です。
(ちょっと小さい…?)
左奥の一番高いピークは木賊山(とくさやま・2469m)。有名な甲武信岳(こぶしがたけ・2475m)は、この山のちょうど裏側になります。右端のちょこっとした尖がりが唐松尾山(からまつおやま・2109・2m)で、この稜線を右(東)へ辿ると、東京都最高峰・雲取山(くもとりさん・2017・1m)へ至ります。
ちなみに、この写真のちょうど真ん中あたり、キレット(稜線がV字型に切れ込んで低くなっている場所)状のすぐ右のピークが、笠取山(かさとりやま・1953m)。5/28日の本ブログでご紹介した「多摩川最初の一滴が滴る」山です。
南には、ピラミダルな山容の美しい山が。
実はこれ、大菩薩嶺(だいぼさつれい・2056・9m)です。
大菩薩嶺といえばたおやかなイメージがあるのですが、北側から見ると 、こんなにも颯爽としているのですね。新鮮な発見でした。
この黒川鶏冠山、戦国時代に甲斐・武田氏の財政を支えた「黒川金山」としての方が有名かもしれませんね。全盛のころには、黒川千軒といわれるほどの鉱山街が谷合いに栄えたそうです。一方で、武田軍が織田信長の軍勢に滅ばされた際、足手まといになった鉱山街の遊女たちを川に沈めてしまったという「おいらん淵」の悲話も…。
歴史のロマン感じる山からの下山路、歩道脇の岩の中に神秘的な光を見つけました。
おわかりですか?ヒカリゴケ(光苔/ヒカリゴケ科)です。
本州中部以北と北海道の、岩や大木の根などの隙間に自生。奥多摩や奥秩父では2000m級の亜高山帯でお目にかかることができます。
自らが発光するわけではなく、原糸体(コケ、シダ植物の胞子が発芽して形成される糸状の植物体)の細胞がレンズ状をしており、外部からのわずかな光も効果的に反射し、光って見えるのだそうです。
薄暗い林床の片隅で静かに光るヒカリゴケ。栄枯盛衰(えいこせいすい)‐甲斐・武田氏の伝説に彩られたこの山にふさわしい輝き‐にも思えました。
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奥多摩からずーっと縦走で。
かなーり長かったです。
山のスケールが大きいですね。
とても楽しい山行になりました。
あまり植物には出会えなかったのですが・・
ヒカリゴケ、見てみたいです。
おかえりなさい。
一昨日、今ごろにゃみにゃみさんは、大菩薩あたりにいるのかなぁ…と思っておりました。天気にも暑いぐらい?に恵まれて、楽しい山行になり何よりでした。ヒカリゴケ、大菩薩嶺周辺にはあったはずですよ(笑)
全山遭、お疲れ様でした。2009年度の山岳遭難件数と、死者・行方不明者数がまた過去最高を更新したようですね…。