23、24日、富士山へ。予想外の好条件に恵まれ、初めての登頂を果たすことができました。今回のパートナーは、“晴れ男”M氏。
23日?、雨に降られ、濃いガスに覆われた富士スバルライン五合目(2305m=写真)まで車で入り、前夜泊。
吉田口登山道入り口の積雪は…
1mほど。
気象庁などによると、この時点で頂上周辺は新雪予想と雪崩注意報が出されており、翌日は気温も上がるとの予報。「無理をせず雪訓でもして帰ろうか…」と、登頂は半ばあきらめていました。
■24日?/快晴のち曇り
五合目P4:50-佐藤小屋5:42/5:50-七合目7:05/7:20-八合目9:30/9:40-九合目10:15/10:25-富士山頂上浅間大社奥宮10:50/11:20-白山岳11:35/11:40-六合目13:55/14:05-五合目P15:00
4:45駐車場から望む…
快晴の富士。気持ちが高ぶります。
日の出とほぼ同時に出発。気温2℃は、予想通り暖かい。
北西方向に…
南アルプスの山並み(写真奥)。そして登山道から…
東に、美しい朝陽を拝むことができました。
前日の降雨と朝の冷え込みで…
佐藤小屋へ向かうトラバース道は、半凍結状態。スリップしたら止まらないため、ここからアイゼン・アックスに切り替えました。
標高2230mの佐藤小屋着。ここから、登山開始です。
六合目付近から北側の風景。写真右下に私たちの影法師…?
ここでお伝えしたいのは、斜面上部から下部に筋状に伸びた樹林(茶色い部分)のつながりです。落葉広葉樹のダケカンバ(岳樺/カバノキ科)の林ですが、なぜこのような生え方をしているのでしょう?
「自然を読み解く山歩き」(小泉武栄著)によると、富士山の森林限界は日本アルプスなどの高山と比較して低い位置にあり、ちょうどこの2400m前後を行き来しているそうです。また、樹種は落葉針葉樹のカラマツが占めており、他の高山で見られるハイマツがないのも特徴。これは現在の富士山が比較的新しい火山(最後の噴火は1707年宝永の大噴火)のため、森林が未成熟でパイオニア種(先駆種=森林形成の初期段階にまず定着しやすい種)のカラマツが多いためだとか。
ただこの場所では、カラマツではなくダケカンバが筋状に見られます。「植生分布が足元の地質と密接に関係している」と同書。「富士山は、(大きな)溶岩を流すような大噴火と、スコリア(火山礫=溶岩のかけら。粒が小さく不安定)をまき散らすような小噴火を繰り返してきた…山頂火口の縁からあふれた溶岩は、細長く放射状にのび、ダケカンバ林のあるところはその帯のどれかにあたっている」。
時を経て土壌が安定してくると、この森林限界周辺の風景は、先駆種のカラマツやダケカンバ林から、他の高山同様、シラビソやオオシラビソといった亜高山帯針葉樹林に変わっていくのかもしれません。あくまでも「富士山が噴火しないまま何百年か経過すれば」の話しですが…この風景から、富士山の成り立ちと未来の姿を想像できるような気がしませんか?
七合目の2800m付近から…
富士山ならでは、背筋の寒くなるような美しい雪の斜面がお出迎えです。
岩場はところどころ氷化。
繁殖シーズンを迎え、まさしくヒバリのようなさえずりで追いかけっこをするイワヒバリ(岩雲雀/イワヒバリ科=写真真ん中)の姿に癒されます。
標高3500m、九合目付近まで来ると…
傾斜が急に。
幸い、昨日は頂上周辺も雨だったようで、雪がよく締まり、アイゼン・アックスがよく利きます。
名物の風も時折吹き抜ける程度で、上々のコンディション。ただ標高3200mを越える辺りから呼吸が苦しくなり、深呼吸と腹式呼吸を心がけました。
吉田口頂上への入口。
山頂を守る狛犬は、氷の鎧を纏っていました。
鳥居を抜けたところが…
富士山頂です。写真左奥のピークが日本の最高所・剣ヶ峰(3775.6m)。
この頃から10m/s前後の風が吹き始め、火口を一周するお鉢めぐりはパス。
白山岳(はくさんだけ、3756.4m=右奥)を往復することに。
白山岳山頂。
剣ヶ峰に次いで高い、二等三角点のあるピークです。北西方向には、南アルプスが眼下に。富士の絶景を、二人占め。(笑)
気温-3℃。4000m近い高所にしては、気持ち悪いほど暖かい。
最新のGPS受信機Germin/etrex20。白山岳山頂での計測高度は3753m(画面左上)で、誤差は約3mでした。1000m級の山で平均1~2mですから、納得の数値。
午前中に相模湾方向からわき始めた積雲がどんどん大きく、高くなっていました。雲に巻かれないうちに…追われるように下山開始。
本日の核心は「巨大な滑り台」の下り。ミスは許されません。一歩一歩に、神経を尖らせました。
六合目まで下るとひと安心。振り返ると、富士山は厚い雲の中。
体力的にも精神的にも心地よい疲労感…久しぶりに、充実の登山になりました。
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