17日、東京都西多摩郡檜原(ひのはら)村にある温泉センター・数馬(かずま)の湯の仕事で、笹尾根(ささおね)のガイドを行いました。
笹尾根は東京都南西端に位置し、山梨・神奈川県との都県界尾根。一般的には、三頭山(みとうさん)の南にある大沢山(おおさわやま・1482m)から、1000m前後のピークと峠を越えながら東へ次第に高度を下げ、醍醐丸(だいごまる・867m)へと至る区間を指すようです。
ハイカーや登山者に人気の高い笹尾根ですが、国土地理院発行の地形図にはその記載がないのをご存知ですか?「郷土史・檜原村(檜原村教育委員会)」によると、現在の地名で呼ばれるようになったのは、実は昭和30年代ころからと新しい。当時、現地踏査をした観光地図の関係者が、同尾根上の笹ヶタワ峰(1157m)周辺にオカメ笹?がたくさん生えていたことから、この場所をより印象的に紹介するために「笹尾根」と記載したのが始まりなのだそうです。
それ以前は「押さえ尾根」。甲斐と武蔵の境になっていたこの尾根は、「甲斐武田の侵攻を防ぐ最高の場所だった」そうです。三頭山東側にある「鞘口(さいぐち)峠」も防衛のための要所で、かつての呼称は「(武田に対する)押さえ口」。それが「さえ口」→「さい口」となり、「鞘口」の文字を当てたもの。笹尾根周辺は、小田原北条氏に属した檜原城主・平山氏の戦略的拠点として重要な役割を果たしていたのです。
・天候/晴れ時々曇り
・行程/上川乗-浅間峠-日原(ひばら)峠-土俵岳-小棡峠-笛吹(うずひき)
(所要4時間20分)
浅間峠(標高835m=国土地理院地1/25000地形図より)。
新緑あふれる風景。
林床の草本や低木~高木層まで、森林空間が立体的に緑で埋め尽くされているのが、檜原周辺の山の魅力。
当たり前といえば当たり前の風景なのですが、ニホンジカの食害がまだ深刻化していない本来の森林(もり)の姿です。ただ、シカはこの地にも確実に入ってきており、樹皮剥ぎや痕跡が少しづつ広がっているのが気にかかります。
土俵岳(どひょうだけ・1005.2m)頂上。
山頂の指導標が…
破損!?今年3月に訪問した時には異状なかったのですが…。
調べてみると、黒い動物の体毛が付着していました。犯人はツキノワグマのようです。表面に塗布してある防腐剤かワックスのようなものに惹かれるのでしょうか…新しい指導標がよく齧られる傾向があります。笹尾根で見かけたのは3度目。
ただこの道標は古い…彼(彼女?)は何を求めていたのでしょう?
本日の植物。
花を「船の碇(いかり)」に見立てたイカリソウ(碇草/メギ科)。
標高500~800m前後の登山道を涼しげに飾っていました。
本日も関東地方上空に寒気が入り、大気の状態が不安定に。雷雨を警戒して早め早めの行動。幸い、最後まで降られることはありませんでした。
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