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多摩の暮らしと山のブログ

梅雨のアルプス 魅力と危険 《木曽駒ヶ岳編》

2011-06-30 09:57:53 | 山のこと

八ヶ岳に続く「梅雨シリーズ」第2段。

南アルプス・甲斐駒ヶ岳の翌日は、中央アルプス・木曽駒ヶ岳へ行きました。中央アは初めて。

〈木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ・2956.3m)〉
(長野県駒ヶ根市・上松町・木曽町)

■6/26(日)/雨のち晴れ、風強し

伊那市駅~(JR)~駒ヶ根駅~(バス)~しらび平~(ロープウエー)~千畳敷8:30-木曽駒ヶ岳10:25-濃ヶ池12:20-乗越浄土15:00-千畳敷15:30~しらび平~駒ヶ根駅~自宅

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日本で最も標高の高いところにあるロープウエー駅・千畳敷(せんじょうじき)。2650mは、確かに高い。

その分、気象条件は高山のそれです。気温13℃。風速10~15m/sの強風が吹きつけ、寒い。カッパ上下と手袋を装着、完全装備での出発です。

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登山口にある駒ヶ岳神社にまず参拝。

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いきなり、残雪の千畳敷カールを横切ります。

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途中から、稜線を目指し雪渓を直登。

ここで気になったのは、観光客に混じって軽装の登山者が多いこと。この場所までロープウエーで入れるので仕方のない面もあるのですが、ここは3000m級の高山です。この通り残雪もたっぷり。明らかにアイゼンを持って来ていない人たちが、登ろうかどうしようか迷っている光景に、あちらこちらで出会いました。

もしもロープウエーがなかったら、梅雨のこの時期に登りに来る人がどれほどいるでしょうか?そこに、答えがあるような気がします。装備と自信がないのなら、無理だけはしてほしくないものです。

それにしても最近は、山ボーイ、山ガールが増えました!

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抜けたところが、乗越浄土(のっこしじょうど)。

ここからは吹きさらしの稜線。時に20m/s近い強風が吹き抜けます。風と霧雨がカッパを濡らし体温を奪われるため、下にフリースを一枚着込みました。

濃いガスのため、小屋や道標もすぐそばまで近寄らないと見えません。地図と磁石と睨めっこ、ルートを外れないよう気をつけました。

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木曽駒ヶ岳直下まで来ると青空が!風は相変わらず強いのですが、青い空と太陽って、私たち登山者をいつも勇気づけてくれます。

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木曽駒ヶ岳頂上(2956.3m)。気温10℃。昨日の甲斐駒同様、眺望はなし。

ちなみに、全国に「駒ヶ岳」と名のつく山は15以上あるそうですが、標高の高さ1位と2位が甲斐駒と木曽駒です。地元の人たちからそれぞれ東駒、西駒と呼ばれていること、ともに信仰の山であることからも、この二つの駒ヶ岳、切っても切れない兄弟?のような関係と言えそうです。

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山頂からは北東方向、馬ノ背の稜線に向かいます。この頃からガスが切れ始め、快適な尾根歩きに。

足元では…
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オヤマノエンドウ(御山の豌豆/マメ科)が花盛り。紫色が目を引きます。

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淡いピンクのミネズオウ(峰蘇芳/ツツジ科)。
花は直径4~5㍉と小さいのですが、花付きがよく目立ちます。これも、イワウメ同様マット状に広がりますが、れっきとした木です。

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ショウジョウバカマ(猩猩袴/ユリ科)

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キバナシャクナゲ(黄花石楠花/ツツジ科)も満開!

この季節にしかお目にかかれない高山植物たちとの出逢いに浮かれてましたが、本日の核心はここからでした。

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尾根上の残雪がそれを暗示?

八合目~濃ヶ池~駒飼ノ池~乗越浄土ルートを周回。
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濃ヶ池(のうがいけ)は、残雪でまだ半分以上埋まっていました。

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融雪水で川と化した歩道。靴を濡らさないよう注意しながら、飛び石伝いにミニ渡渉を繰り返します。

ここまでは良かったのですが…
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雪渓が、次から次へとお出迎えです。

これは一つ目をちょうど渡り終えたところですが、幅50㍍ほど。トレース(先行者の踏み跡)はありません。スリップしたら滑り台のごとく谷底へ。アイゼン(6本爪)を装着し、ストックでバランスをとりながら慎重に通過しました。

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こちらは幅70㍍ほどでしょうか。結構急です。トレースのない雪渓のトラバース(水平方向に横切ること)は、気を使います。正直なところ、12本爪アイゼンとアックスがほしいと思いました。

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ハクサンイチゲ(白山一華/キンポウゲ科)が一時の癒し。

その先には…
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…といった感じで、コースタイム1時間半のところが倍の約3時間かかりました。単独ということもあり、久しぶりにしびれる行程に。その一方で、どこかそれを楽しんでいる自分がいました。どうしようもないなぁ…(笑)

後でロープウエーの係員に話をしたところ、「あのコースは今の時期に入るものじゃない。ちゃんと調べてきなさい」と言われてしまいました(汗)。確かに、雪上技術に慣れない人は、絶対に入らないでくださいね。

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乗越浄土に立つ宝剣山荘前に抜けて、ひと安心。

千畳敷へ下山するころには…
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東正面に、南アルプスの山並みと富士山(写真右端。わかりますか?)が見えていました。
そして…
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甲斐駒ヶ岳(真ん中)も。山行の最後に、初めてそのピラミダルな姿を見せてくれました。やはり、いい山です。

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千畳敷から振り返る宝剣岳(ほうけんだけ・2931m)。こちらも、いつか登りたい山の一つ。

梅雨のアルプスの魅力と危険を全身で感じた三日間。学んだことも多かった…まだまだ勉強です。

                               おわり









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2 コメント

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はじめてお邪魔します。 (riversider)
2011-07-02 21:55:15
はじめてお邪魔します。
先日偶然こちらのブログを知りました。

私、現在拝島駅近くに住んでいる者です。
青梅に生を受けた関係で、中学時代から奥多摩を登り始め、今は、奥多摩のほか、北・南・八ヶ岳を“つまみ食い”程度に登っております。

今後もすてきな記事を楽しみしております。
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riversiderさん (masa)
2011-07-03 11:02:03
riversiderさん


コメントありがとうございます。
中学生のころから…というと、riversiderさんは奥多摩周辺にきっとお詳しいのでしょうね。私が最近、多摩周辺を歩けていないのが心ぐるしいところです(苦笑)
北・南・八ヶ岳方面もこれから本格的な登山シーズン。山が好きな人たちにとってはワクワクする季節ですね。
これからもよろしくお願いします。
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