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多摩の暮らしと山のブログ

梅雨のアルプス 魅力と危険 《甲斐駒ヶ岳編》

2011-06-29 00:05:43 | 山のこと

本ブログ6/17、22日の八ヶ岳に続く「梅雨シリーズ」第2段です。

6/24~26の三日間、仕事の下見で南アルプス・甲斐駒ヶ岳、中央アルプス・木曽駒ヶ岳へ行きました。梅雨前線の活発化により、三日とも荒れ気味の天候に。この時期ならではの魅力とともに、危険も垣間見える山行になりました。

《甲斐駒ヶ岳編》と《木曽駒ヶ岳編》の2回に分けてご紹介。


〈甲斐駒ヶ
岳(かいこまがたけ・2967m)〉
(長野県伊那市、山梨県北杜市・南アルプス市)

■6/24(金)/曇り時々雨、風強し

自宅5:24-北沢峠・長衛荘13:45<泊>

自宅のあきる野市を始発電車で出発。長野県 伊那市(いなし)駅からバスを乗り継ぎ、甲斐駒ヶ岳の登山口・北沢峠(きたざわとうげ)を目指しました。

南アルプス林道を行くバスの車窓から…
P1070177
目指す甲斐駒が見えるはず(写真真ん中あたり)なのですが、頂上付近だけが厚い乱層雲に覆われて、その姿を拝むことはできませんでした。

バスの運転手さんの話しによると、甲斐駒ヶ岳とは、表参道(黒戸尾根※)がある山梨県側の呼称。西の長野県側では、東駒ヶ岳と呼ばれており、案内図などでも後者が使われています。次号で紹介する中央アルプス・木曽駒ヶ岳が
西駒ヶ岳とも呼ばれており、それに対しての呼び名とのこと。

考えてみれば、長野県側から登るのであれば、「東駒ヶ岳」と呼ぶのが礼儀のような気もしますが…ここでは混乱を招かないために、知名度の高い甲斐駒ヶ岳で統一させてもらいます。

※甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根については、2010/11/23、25の本ブログ「初冬の黒戸尾根へ」参照。

P1070183
北沢峠。標高2030m。

P1070193
周辺は、南アルプス国立公園・第2種特別地域。

P1070179
峠に立つ本日の宿・長衛荘。ペンションのようにおしゃれ。一瞬入るのをためらいました。

さらに…
P1070223
宿泊者は私一人。嬉しいような、寂しいような…。

P1070220
夕食も何て豪勢!たった一人のために…?クセになりそうです。(笑)

明朝、夜明けとともに出発する旨を伝えると、朝食を4:00に用意してくれるとのこと。細やかな配慮に、感謝。

20:00前就寝。

P1070192
北沢峠で見ごろを迎えていたキバナノコマノツメ(黄花の駒の爪/スミレ科)

6/25(土)/曇り時々雨、風強し

北沢峠4:40-仙水峠6:15-駒津峰7:35-甲斐駒ヶ岳8:45/9:00-双児山10:45-北沢峠11:45~伊那市へ移動<泊>

3:30起床。小雨。
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北沢沿いに登り始めます。

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亜高山帯針葉樹林の森林(もり)を抜け、仙水峠(せんすいとうげ)直下まで登ると…
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岩海(がんかい)斜面。2万年ほど前の氷河期、沁み込んだ水が凍って体積を膨張させ、岩石を破壊してできた地形だそうです。悠久の、自然の力を感じます。

何の花?と思って近づくと…
P1070232

コメツガ(米栂/マツ科)の新葉。意外に愛らしく、目映い。

ここを登り切ると…
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仙水峠(2264m)。東の山梨側に、一瞬晴れ間が覗きました。が、稜線上は予想通り風が強かった…。

特に、駒津峰(こまつみね・2740m)直下~甲斐駒への稜線上は、風速10~15m、時に20m/s(何かにつかまらないと転倒する強さ)の西風が吹き荒れ、何度か耐風姿勢をとりました。

雨は止んでいたものの、もしこれで身体が濡れると…「2009トムラウシの悲劇」が頭をよぎりました


P1070245
足元のイワウメ(岩梅/イワウメ科)がせめてもの癒し。岩の表面を包み込むように枝葉を伸ばしていますが、れっきとした木です。

P1070247
ガスの甲斐駒頂上(2967m)。気温10℃。

誰もいないと思いきや…
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大学のワンゲルらしき若人たちの笑い声。男女半々ほどでしょうか。聞くと、この風の中、長い黒戸尾根を登って来たとのこと。しかも、テント泊。「やるねぇ!」思わず嬉しくなってしまいました。

下山途中、今シーズン初めての出逢いがありました。
P1070254_2
ハクサンイチゲ(白山一華/キンポウゲ科)

雪解けとともに開くこの白色の萼(がく)を見ると、高山植物の季節到来-を実感します。

双児山(ふたごやま・2649m)へ向かう途中、黒い塊が眼の前を横切りました。
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ライチョウ(雷鳥/キジ目ライチョウ科)です!P1070265
目の上に紅い肉冠があるので、オス。昨年5月の剱岳以来の再会。例によって、こちらをじっと観察しているので、しばらく視線の交換をさせてもらいました。(笑)

ワシやタカなど天敵の目から逃れるため、雨やガスの中でよく活動すると聞いたことがあります。ということは、梅雨の時期ってライチョウに出逢える確率が高いのでしょうか?

これだけでも今日の天候不順が許せてしまえますが、さらに…
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キバナシャクナゲ(黄花石楠花/ツツジ科)も開花。6/12の八ヶ岳ではまだつぼみでした。初めての対面にしばし感動…淡い黄色が清楚で、どこか気品が漂います。

北沢峠に下山。再びバスの車窓から振り返ると…
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甲斐駒はやはり、雲の中。結局、この二日間は一度も姿を見せてくれませんでした。


                  《木曽駒ヶ岳編》につづく-














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