多摩、ときどき山

多摩の暮らしと山のブログ

北の大地 錦繍の森へ/妙高・火打 《後編》

2010-10-09 21:13:13 | 山のこと

10/4~6日の妙高・火打 山行《後編》です。

最終日6日は、テント場のある高谷池(標高2090m)から山塊の最高峰・火打山(2461.8m)をピストン(往復)した後、テントを撤収して南面の笹ヶ峰登山口に下山予定。

少し寝坊をしてしまい5時起床。昨夜、薄手の3シーズン用シュラフでは「どうも寒いな…」と思っていたら、テントのフライシート内側がバリバリに凍り付いていました。気温は-3℃。納得です。

高谷池周辺は…
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一面、霜の世界。

放射冷却で冷え込んだということは…
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今日は、好天に恵まれるはずです!

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目指す火打山の稜線を、北から南に、幻想的な滝雲が流れていました。期待に胸が膨らみます。

6時半、テン場を出発。
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澄んだ青空の下、左手には池糖を静かにたたえる高谷池。

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遠く南西方向には、北アルプス 槍・穂高連峰が望めます。

湿原保護のために設置された木道脇に…
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オヤマリンドウ(御山竜胆/リンドウ科)がワサワサと。紅葉期の紫色は際立ちます。

振り返ると…
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累々と横たわる岩石と湿原の奥に、来し方妙高山が、朝の逆光の中に浮かび上がっていました。

そして前方には…
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やわらかいスカイラインを描く火打山。おまけでI氏とのツー・ショット?

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“天狗の庭”と名付けられた湿原です。

この辺りは、国立公園の中で最も厳しい行為規制が敷かれる「特別保護地区」。植物や動物の採集はもちろん、落葉・落枝、石ころにいたるまで持ち帰ったり、傷つけたりすることは原則、許されていません。

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池糖に映る逆さ火打。

5月のゴールデンウイーク時でも5m以上の積雪があるという天狗の庭周辺。豊かな雪解け水が育む広大な湿原と繊細な紅葉の競演は、天上の楽園のよう…守り続けて行きたい風景です。

途中で出会った指導標。
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シンプルな作り。「8/9km」とは、表示もユニークです。

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ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花/キンポウゲ科)の残り花が一輪。陽光に反射する金属光沢が、まばゆい。

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高度をグングン上げて…
(奥に見えるのは、北アルプス 後立山連峰)

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8時過ぎ、二等三角点の火打山山頂(2461.8m)に到着しました。

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ここにも石仏が2体。1体は、なぜか頭がありません。冬の自然が厳しい北の山には、どこか信仰の香りが漂っています


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周囲は360°の大展望…のはずですが、残念ながら本日も雲が厚くなり、眺望はかき消されていました。気温9℃、陽が陰ると寒い。コーヒーを味わいながら30分ほどのんびりして、下山にかかりました。

1時間ほどで高谷池のテン場に帰着。テントを撤収している最中に、何と本降りの雨に!これは予想外でした。「○○○心と秋の空」とは、まさにこのようなことを言うのでしょうか?(笑)

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テントを撤収してすぐに下山開始です。

ここから笹ヶ峰への下りは、森林が素晴らしい。
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標高約2000~1700m


高木層はオオシラビソやシラビソ(マツ科)。針葉樹林を欠く日本海側の山岳としては、かなり貴重な群落なのだそうです。しかも中・低木層は、各種カエデ類やナナカマドなどの広葉樹が豊かに覆い、林床にはチシマザサ。

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標高約1700~1400m。

ブナ林です。登山道脇に、樹齢200年以上と思われる大木が林立しています。ミズナラも混じり、中・低木層をやはりカエデ類やコシアブラ、オオカメノキなどが埋めています。地面を覆うチシマザサは密過ぎず、林床にはツバメオモトなど日本海側特有の植物も、多く見受けられました。

さらに…
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次代を担うブナの幼樹が、至るところに顔を出していました。

温暖化か、乾燥のためか…奥多摩など太平洋側ではもう、あまり見られない光景です。

1400mを切る辺りから…
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高木層は、シラカバなどのパイオニア種(先駆種)にミズナラが混じる感じ。ブナはあまり見られなくなりました。

豪雪の日本海側、この標高ならまだブナが優占してもおかしくないはずですが…「おそらく最近まで、(薪炭林などとして)
人の手が入っていたということでは?」と、I氏とともに想像しながら、数十年、数百年後の森林の姿に思いを馳せました。

まさしく豊穣の森林…「このコース、季節を変えてのんびりと歩いてみたいね」と、二人うなずき合いました。

雨も上がり晴れ間が再び覗く中、下山を続け…
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14時ジャスト、笹ヶ峰登山口(標高1300m)着。

バス待ちの間にI氏が作ってくれた醤油とんこつラーメンが、身と心に沁みて旨い、山行の締めくくりとなりました。最後はもちろん、妙高高原温泉で汗を流して〆(シメ)。

北国ならではの山の、自然の魅力を堪能することができた3日間でした。Iさんに感謝します。

                             おわり















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