まさおレポート

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屋上から見た風景 不思議なヒンドゥ神の恩寵

2011-02-23 | バリ島 文化・風習・葬祭・ヒンドゥ・寺院・宮殿
屋上に上り最初に目につくのは朱の瓦と淡い青でアクセントをつけた10階建のバリ・グランド・ビーチホテルで、これはサヌールのみならず、バリでも一際高い建築物だそうだ。このホテルは1993年に一度電気回路のショートが原因で火災にあったが、一部屋だけが焼けずに残ったという、大火災にもかかわらず幸い死者が出なかったということと合わせて不思議なヒンドゥ神の恩寵ととらえられている。

これだけ高い建物はスカルノ全盛時代の1966年に日本の戦後賠償金をもとに例外的に高層に建てられたもので、彼の当時の権力の大きさを思い起こすよすがになる。バリではヤシの木以上の高さの建築は美観上禁止されていると多くの人々から聞いたことがあるが、真偽のほどは確かめたことは無い。これだけの高層ビルは以降建てられていないということからして真実なのだろう。この焼け残った一部屋とは327号室で、スカルノが宿泊した部屋で、今でも火災時のまま煤ぼけた部屋に祭壇が置かれているという。この屋上からの目線では6階あたりが同じ高さに見える。してみるとこの屋上は海抜20メートル近くあるということになる。

四角錐の形をしたものが多いが、錆びた朱色の瓦屋根が樹木の緑とマッチしてなかなか素敵な風景を見せてくれる。錆びた朱色だけからの連想では、ローマやボローニャで高みから見た風景に似ていなくもない。ローマやボローニャはもっと密集しているが、バリは緑の方が圧倒的に多い。なぜか朱色の屋根の一つに洗濯物が干してある。Tシャツや子供のパンツなどが屋根を覆うほどに干してあるが、どうしてこんな場所に干したものか、この屋根も結構高いので屋根の上を危険を承知で干して歩いたとしか思えないが、見るたびに不思議がっている。

ところどころに一際背の高い巨木が視界に入り、それからヤシの木の手のひらを広げた形が目に入り、さらに少し下にマングローブの背の高いものが目につく。このマングローブはところどころに茶色い葉をつけている。常緑と落葉の双方の性格をあわせ持つのかもしれない。

数キロかなたに一際巨大な藁屋根の建築物が見える。屋根からは向こう側がところどころ透けて見えるのは工事が数年前に途中で仕掛のまま置かれたので、風雨で剥がれ落ちたのだろう。完成後であればここまで剥げ落ちることはない。

樹木の間から湾の穏やかな海面が見える。今日は薄曇りでアグン山は見えない。銀色の海面も潮目が帯状に張っているが静まっており、風がないので木々もそよがない。ツバメが海面を背景に盛んに飛び交って動きをそえている。

目を左右に転じると、落ち葉を焼いているのか、白い煙がゆっくりと上空に立ち上ってくる。微かにエンジン音や工事現場の槌音が聞こえるが、風景が静かなので印象は静寂だ。その静寂を飛行機の爆音と犬の吠える声がときおり破る。

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