まさおレポート

当ブログへようこそ。広範囲を記事にしていますので右欄のカテゴリー分類から入ると関連記事へのアクセスに便利です。 

紀野一義の研究 3 名僧列伝(二)メモ

2021-02-24 | 紀野一義 仏教研究含む

この書で良寛の出家の原因と自らの凄まじい体験をかぶせて語っている。下記は氏の信仰の原点を語っている。

氏は「私の周囲にも、怪異はいくらも起きている。口を噤んで語らないだけのことである。」という。幽霊談的なものは語らないという教育を受けている世代なのだろう。私は氏の講演で広島原爆の後に帰った寺で家族の幽霊を見たと語ったことを記憶している。

この病兵はかつて中国戦線にあった時、討伐に出た連隊の兵全員が深夜に帰隊した時の、身の毛もよ立つような話を語り続けた。

血と泥にまみれて帰隊したその深夜、広場でボロボロの軍旗に捧げ銃の礼をした瞬間に軍旗は突如燃え落ち、整列した兵全員が、形容しがたい呻き声をあげて一斉に大地にメラメラと吸い込まれてしまった怪異を語り、僧侶である師に彼らの供養を依頼して死んだという。

この怪異を目撃した病兵(討伐には参加しなかった)らは、翌日すぐに地獄のガナルカナル島に転属させられ一人も生きては帰らなかった。軍の幹部は彼らの口をふさいだのである。しかし、くだんの病兵だけはなんらかの理由でガナルカナル島送りを免れ、ビルマ戦線に連行され、この怪異を語ってまもなく死んだのである。 

米爆撃機の投下した爆弾の中の不発弾1750発を信管外しという荒業で全部処理した私の周囲にも、怪異はいくらも起きている。口を噤んで語らないだけのことである。血気盛んな現役兵が限界状態の中で無理矢理死を迎えさせられる時、怪異が起こらない方が不思議である。名僧列伝(二)p5

氏の著作には宗教は理屈ではないと繰り返される。

そういう世界がひらけてくる前には、いつも、心や体が極限状態まで追いつめられるということがある。私の場合それは、沈没寸前の輸送船の地獄であり、グラマン戦闘機12機による低空銃撃であり、250キロ爆弾や500キロ、1トンという巨大な爆弾や時限爆弾との対決であった。

そのときの心もしいんとなるような恐ろしい経験を、私は、餓死寸前の良寛の中にみたり・・・ 名僧列伝(二)p6

この書で触れられた会津山中の「33体の美しい仏たち」をなんとかして護ろうとする運動に微力を尽くしている。・・・インドの聖者バグワン・ジュリー・ラジニーシュ師のいう「玄牝」永遠に女性的なるものへのあこがれと帰投への世界を感じ取っているのである。p7

若いころの良寛にはこの躁鬱の性格が色濃く表れていたと思われる。・・・私は良寛が好きである。p25

わしは生涯、世の中に身を立て出世するという生き方がいやで、ぼんやりとして、あるがままの天然の道理に自分を任せきって生きている。・・・迷ったの、悟ったのというようなことは今のわしにはどうでもよい。まして、名誉だの、利益だのというような汚いものにはかかわりがない。p64

しかし災難に逢う時節には災難に逢うがよく候。死ぬ時節には死ぬがよく候。これ災難をのがるる妙法にて候。かしこ p73

これでは良寛は現代の上昇志向の若者にはそっぽを向かれるだろう。そう思って読み進めると氏は次のように記す。良寛は好きだがその面はしっかり批判している。

人間にはそれぞれ、弱さというものがある。良寛の弱さはそういう情緒不安定にあったのかもしれぬ。それを美化したり、善意に解釈しなおしたりする気は私にはないのである。

この頃は、ことさら禅僧くさく奇矯にふるまう人が多く、くさくてかなわないので、一点香火の気なし、という良寛には無条件にひかれるのである。

良寛は私にとってなつかしい人である。・・・なつかしいと思わぬと、その現行に強大な影響を受けることがない。p310

氏は講演で懐かしい人というのが最上の誉め言葉だと述べた。以来わたしはこのことばを忘れたことはない。大切な人へも最後の別れにこの言葉を送った。

 

紀野一義の研究 10 禅 現代に生きるもの

紀野一義の研究 9 「日蓮 配流の道」メモ

紀野一義の研究 8 「ええなあ!という人生―肯定、肯定、絶対肯定して生きる」メモ

紀野一義の研究 7 「佛との出会い」メモ

紀野一義の研究 6 「日蓮の世界」のエッセイよりメモ

紀野一義の研究 5 「思い切りよく生きてみたい」坂村真民 メモ

紀野一義の研究 4 「法華経「を読む メモ

紀野一義の研究 3 名僧列伝(二)メモ

紀野一義の研究 2 あるブログで氏のリアルに迫る

紀野一義の研究 1 黄金の70代

 

 

<iframe style="width: 120px; height: 240px;" src="//rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=amazonasomasa-22&language=ja_JP&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=as_ss_li_til&asins=B0BHJB4W65&linkId=dbb033ac7157172e6032ceaad75927b0" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" sandbox="allow-popups allow-scripts allow-modals allow-forms allow-same-origin"></iframe>


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。