まさおレポート

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紀野一義の研究 5 「思い切りよく生きてみたい」坂村真民 メモ

2021-02-25 | 紀野一義 仏教研究含む

氏はこの著で何人かの人たちの思い切りのよい生き方を記す。そのなかで相田みつをと坂村真民についてメモしてみたい。

相田君はごく平凡な市井の徒である。常に貧乏をして可愛い奥さんに苦労を掛けている。この矛盾撞着の権化のような男を因果なことに私は、大変好きなのである。

相田みつをは1974年紀野一義のベストセラー『生きるのが下手な人へ』で有名になり、本が売れた。しかし本格的に売れ出し金が入りだしたころに死んだという。

相田君は書いた。

「当店は二流の上の旅館です。決して一流の人に泊まってもらおうとは思いません。しかし三流の人に泊まってもらおうとも思いません。二流の上のお客様に泊まっていただくのです。」

旅館「中山」へのキャッチをまかされて相田が書いたという。

相田君は富を得る前にさっさと死んでしまった。私のよくしる相田君は、本屋の棚にはいないような気がする。是非、この貧乏だったころの相田君のことを知ってもらいたいものである。

氏は成功者よりも市井の人を愛する。だから成功者となった相田君は相田君ではないのだな。

蛇足ながらわたしもそうとは知らず足利の香印堂のもなかを戴いたり取り寄せたりして食べているが、包装の中に相田みつをの宣伝文が入っている。この著で足利と相田氏の関係を知った。

詩人の坂村真民についても書く。朝鮮の会社経営や愛媛の高校の先生の職をなげうって詩を書き続けた、まさに生きるのが下手な詩人に氏は大いなる愛を注ぐ。返す刀で「豚のごとき高級官吏」と手厳しい批判を。

無能にして高級を食み、地位と権力をかさにきて賄賂をむさぼり、天下りのたびに莫大な退職金をせしめて恥じぬ豚のごとき高級官吏とはおのずからその生まれも、育ちも異なる精神の貴族である。

次の坂村真民の詩を二つ転載している。

みめいこんとん  坂村真民

わたしがいちにちのうちで

いちばんすきなのは

あのみめいこんとんの

ひとときである

 

わたしはそのこんとんのなかに

みをなげこみ

てんちとひとつになって

あくまのこえをきき

かみのこえをきき

あしゅらのこえをきき

しょぶつしょぼさつのこえをきき

じっとすわっている

 

てんがさけび

ちがうなるも

このときである

めいかいとゆうかいとの

くべつもなく

おとことおんなとのちがいもなく

にんげんとどうぶつとの

さべつもない

 

すべてはこんとんのなかに

とけあい

かなしみもなく

くるしみもなく

いのちにみち

いのちにあふれている

 

ああわたしが

いちにちのうちで

いちばんいきがいをかんずるのは

このみめいこんとんの

ひとときである

 

氏も次の詩のように庭の寒椿が「さようなら」と言って落ちるのを聞いたという。


 一途に咲いた花たちが
大地に落ちたとき
“あ”とこえをたてる
あれをききとめるのだ

つゆくさのつゆが
朝日をうけたとき
“あ”とこえをあげる
あれをうけとめるのだ

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