以下は宇宙創成 サイモン・シンの下巻からのメモです。pxxは下巻のページを指します。
自然は私たちに、ライオンの尻尾だけしか見せてくれません。・・・私たちは、ライオンにくっついている一匹のシラミのようにしか、ライオンを見ることはできないのです。 p10
ルメートルは、一般相対性理論によれば、宇宙は膨張すると論じた。 p14
フリードマンのビッグバン・モデルによれば、宇宙は原初の原子から始まったのではなく、一点から始まった。言い換えると、そのとき宇宙全体は、無の状態にまで圧縮されていたことになる。 p15
少年は医者に向かって、宇宙は膨張していると本で読んだが、膨れ上がって破裂したらすべてはおしまいだと話す。すると母親が口を挟んでこういった。「宇宙がなんだっていうの?あなたはブルックリンにいるのよ!ブルックリンは膨張していないの!」 p17
(アインシュタインと2度目の妻エルザの)二人は巨大な百インチ・フッカー望遠鏡を見学した。驚いたことにエルザはあまり感心せず、「そうかもしれませんけど、夫は使用済み封筒の裏に走り書きをするような計算だけで、それをやってしまいますのよ」といった。 p18
ルメートルはこう述べている。「科学者が、聖書に書いてあることは科学的に見ておかしいなどと心のなかで考えています。しかしそれは二項定理の中には正真正銘の宗教的教義が含まれているはずだと考えるようなものなのです」 p23
多くの人が、彼(ブルガリア生まれの科学者、フリッツ・ツビッキー)のお気に入りの悪口である「球形のろくでなし」と呼ばれた。球はどこからみても同じに見えることから、球形のろくでなしは「どこからみてもろくでなし」という意味である。 p25
彼(エディントン)はハップルの赤方偏移を「重要な結論を吊り下げるには、あまりにも細い糸である」といった。 p31
1キログラムのラジウムは、30分で1リットルの水を沸騰させるだけのエネルギーを生み出す。・・・何千年もの間30分ごとに新しい水1リットルを沸騰させ続けることができる。 ・・・最終的には同じ重量のダイナマイトよりも100万倍も多くのエネルギーを出すことになる。 p37
ラザフォードにとって、この結果は衝撃的だった。「私の人生にかつてこれほど信じられない出来事が起こったことはなかった。それはちょうど、十五インチの砲弾を一枚のティッシュペーパーに向かって撃ったところ、跳ね返されてこっちに向かってきたというものだった」 p47
原子のサイズは、陽子、中性子、電子の個数によって変わるが、一般には、直径が十億分の一メートルよりもさらに小さい程度である。しかしラザフォードの散乱実験は、原子核の直径はそれよりさらに十万分の一ほど小さいことを示唆していた。・・・仮に一個の水素原子をコンサートホール(たとえばロンドンのロイヤル・アルバート・ホール)を満たすぐらいに拡大したとすると、原子核は、だだっ広いホールのまん中にいる一匹の蚤ぐらいの大きさにまでなる。 p51
1キログラムの水素が何らかのメカニズムで融合すると0.993キロのヘリウムとなり、・・・これは十万トンの石炭を燃やして得られるエネルギーに等しい。 p59
天体物理学者たちは、太陽が1秒間に五億八千四百万トンの水素を五億八千万トンのヘリウムに転換し、失われた質量が太陽を輝かせるエネルギーになる過程を正しくイメージできるようになったのだ。・・・これからまだ何十億年もエネルギーを生み出し続けるだろう。 p66
すでに見たように、この宇宙には、水素原子1万個に対してヘリウム原子はざっと1千個、酸素原子は2個、炭素原子は1個の割合で存在し、これ以外の元素をすべて合わせても炭素原子よりさらに少ない。 p70
宇宙全体としての物質密度を見積もることができ、その結果は地球千個分の体積に1グラムの質量というものだった。 P77
アルファはビッグバンがあったと仮定することにより、ヘリウムの存在比を説明することができたのである。 P85
アルファとハーマンは、再結合の瞬間に放たれた大量の光の波長は、およそ千分の一ミリメートルだったと推定した。この波長は、プラズマの霧が晴れたときの宇宙の温度、摂氏三千度から直接引き出されたものである。・・・今日ではざっと1ミリメートルに伸びているだろうと予測した。・・・光のスペクトルの中ではいわゆるマイクロ波領域にある。 ・・・このいわゆる宇宙マイクロ波背景放射の検出に成功した者は、ビッグバンが実際に起こったことを証明することになるだろう。 P104
彼(ゴールド)は、「夢の中の恐怖」の物語と同じように、時間とともに進展はするが、本質的には変化しない宇宙を思い描いたのである。 ・・・ 絶えず変化しているが変わらない例として川を挙げた。そのほかにも、たとえばレンズ条高積雲という雲がある。この雲は、強い風が吹くときでも山の頂に留まっている。・・・我々の肉体もまた、不変性を保ちながら変化するという、この原理の例になっている。 P119
ゴールドはさらに一歩進めて、「完全宇宙原理」を仮定した。この原理は、宇宙の中でわれわれがすんでいる小さな領域は、ほかのどの領域とも違わないだけではなく、宇宙の中でわれわれが生きるこの時代は、ほかのどの時代とも違わないというものだ。 P122
定常宇宙モデルは、赤ん坊銀河は宇宙全体に均一に散らばっていると予測するのに対し、ビッグバンモデルははるかかなたにしか見られないと予測する。 p122
ホイルはその後、複雑な進化など到底起こらないことを示すドラマティックなたとえ話を思いついた。「竜巻が廃品置き場を通り過ぎたら、新品のボーイング747ジャンボジェットができていたというようなものである。」 p125
ボンディーは・・・ホイルを擁護した。「そういう発言は、流体力学について発言する権利があるのは配管工と牛乳屋だけだというのと同じレベルだ」 p126
教皇ピウス12世は、1951年11月22日に開かれた教皇庁科学アカデミーの会合に出席し、「現代自然科学に照らした神の存在証明」と題する演説を行った。教皇は特に、ビッグバン理論を強力に支持した。 p140
彼(ルメートル)はこう述べた。「私に理解できる限りにおいて、この理論はあらゆる形而上学的ないしは神学的な問題の外側にとどまっています」 p143
ソビエトの理論的指導者たちがビッグバンに敵対したのは、このモデルがマルクス=レーニン主義のイデオロギーと相いれないためだった。特に、宇宙創造の瞬間があったとするモデルは何であれ、断じて認めるわけにはいかなかった。 p145
ハップルは1953年9月28日に脳血栓のために死んだ。・・・実際、彼が世を去ったとき、委員会はまさに彼の受賞を発表すべく準備を進めていたのである。 P168
サンディッジの行った観測により、宇宙の年齢は100億年から200億年のあいだであることが明らかになった。 P173
ホイルは、極端な高温と高圧がさまざまな組み合わせになるために、幅広い質量領域の原子核ができるという決定的な事実をあきらかにした。 P179
ホイルは、超新星の極端な環境によってめったにおこらない核反応が起こり、とくに重くて珍しい原子核が作られることをしめした。 P180
ホイルの研究がもたらしたもっとも重要な成果の一つは、星の死が元素構成の終着駅ではないとわかった事である。・・・第二世代の星は、最初から重い元素を含んでいるため、元素構成からは一歩先んじたスタートを切る。・・・われわれの太陽は、おそらく第三世代の星だろうと考えられている。 P181
「宇宙創成」サイモン・シン メモ1 - 団塊亭日常 - Gooブログ