写真は2007年のペリトモレノ氷河。
かっこいいね、イーロン・マスクはトランプ大統領にも堂々の意思表明。さて孫正義氏は気候変動問題とトランプ大統領にどう対処するのだろう。気候変動問題でトランプ大統領に意思表明するとかっこいいのだが。(実はかっこいいだけではない、トランプ失脚後のリスク対策でもあるのだが)
大統領諮問委員会を辞任する。気候変動は本当だ。パリ協定を脱退することはアメリカにとっても世界にとっても好ましくない。イーロン・マスクは、気候変動およびパリ協定離脱の世界と米国両方にとってのマイナス面を辞任の理由に挙げた。
アップルのティム・クックCEOは「パリ協定からの離脱は我々の惑星にとって間違いだ。アップルは気候変動と戦い続ける」ウォルト・ディズニーのボブ・アイガーCEO。「道義上の理由から辞めることにした」。
グーグルのスンダル・ピチャイCEO「今日の決定には失望した。グーグルはよりクリーンで、より豊かな未来のために全力を尽くしていく」
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは「パリ協定からの離脱は環境や経済にとって良くない。我々の子どもたちの将来を危険にさらす」
ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルトCEOは「決定に失望した。産業界はいまや政府に頼らずに(温暖化対策を)主導しなければいけない」
ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファインCEOは「(離脱の決定は)環境問題と米国の世界における指導的立場の後退だ」
レオナルド・ディカプリオ氏は「今日、地球は被害を受けた。今こそ行動を起こすことが何よりも大切だ」
マイケル・ムーア氏は「トランプは全人類に対する犯罪に手を染めた」。
ヒラリー・クリントンは「歴史的な過ちだ」
アメリカ気象学会(AMS)の年次報告書『2015年 気候の現状』によると
19世紀半ば以降では最も高温だった。昨年の記録的な暑さは、長期的な地球温暖化の影響と、1950年以降有数の強さのエルニーニョ現象の影響が重なった結果だったとしている。
強力なエルニーニョの影響により、産業革命以前の平均気温より1°C以上高くなったのは今回が初めてだ。
地球の平均海面水温も2014年の最高記録を上回った。
ハワイのマウナロア観測所で観測されている二酸化炭素濃度の年間平均値が、今回初めて400ppmの大台を超えた。
世界の平均海面水位も2015年に最高記録を更新し、人工衛星を使った正確な観測が始まった1993年の平均値より約7cm高くなった。
深刻な干ばつ地域は、2015年には14%まで増加した。2015年に発生した熱帯低気圧の数は101で、1981年から2010年までの平均82を大きく上回った。
1750年以来、二酸化炭素濃度は31%、メタンは151%、窒素酸化物17%、対流圏のオゾンが36%増加し、人為的な二酸化炭素の多くが化石燃料の燃焼により生産されている。メタンガスは家畜や燃料、米の生産でも増加し、湿地などから自然要因で放出される量の66%程度であると発表した。
地球温暖化は10万年単位では諸説あるようで、必ずしも人類の出す炭酸ガス温室効果が主要因であるとは定説になっていないように見受けられる。トランプ大統領もそれを根拠に離脱を判断したのだろう。でもしかし、自らの目で一度氷河を見るとよい。素直に受け入れられるのではないか。(このペリトモレノ氷河とピノ氷河は例外的に縮小していないので反論されるかの知れないが、地球全体の氷河は確実に縮小している)
米大陸の南緯40度付近を流れるコロラド川以南をパタゴニア地方と呼ぶ。アルゼンチンのブエノスアイレスからパタゴニアのカラファテに飛んだ。この地は名うての強風地域で、風速60メートルもまれではないとのことだ。そんなこととは露知らず、カラファテに飛行機が近づいてきた。
猛烈な風を機体に感じながら、高度を下げていくが、揺れがすごい。ときどき、大きな揺れがあり、落下感が不気味だ。地面に近づくほど機体の揚力は増すのだと自分に言い聞かせているあいだに、無事着陸した。台風のさなかに着陸したような気分だ。乗客が一斉に盛んな拍手を機長と自分たちにおくる。再びこの風の中を離陸したくなかったので、陸路でこの地を離れる決意をした。
そんな怖い思いまでしてきたのは、ロス・グラシアレス国立公園のペリトモレノ氷河を見たい一心からだ。アラスカやヒマラヤにも氷河があるが、この地の氷河はまじかに見れることを楽しみにしてきた。
観光バスに乗って、途中に野生のグアナコを初めて見て興奮し、数時間ののち、山間に氷河のブルーが垣間見えた。まじかにみえるところでバスは停止し、そこから歩いて氷河まで散策に出かけた。とにかく寒い。夏とは到底思えない寒さだ。厚手のジャンパーとマフラーをぐるぐる巻きにしてようやくしのげる寒さだ。
船で氷河の近くまで回遊すると、ブルーの氷がトンネルを作っている。そのとき、どーんという地響きがあり、氷河の一部が崩れ落ちた。ものすごい音だ。そのときはただただ、音の凄さに驚嘆しているばかりであった。
2ヶ月も経った頃、うどん屋で何気なく週刊新潮のグラビアを眺めたら、ペリトモレノ氷河の縮小を報じているではないか。訪れたのは2007年2月の中旬だが、このカメラマン氏は3月に訪れたとある。ほぼ近い頃だ。氷河はここ50年の間に急速にその形を変えているとある。地球温暖化の影響で氷河が縮小している。彼は、氷河の崩落するすざましい音を、地球の苦痛の叫びととっていたのだ。
じつはこのカメラマン氏の記述にもかかわらずペリトモレノ氷河は縮小していない珍しい例であるという。だが世界的には氷河は縮小している。わずかな根拠を縦に反論してもおかしなことで、取り返しがつかないリスクをコントロールすることが大事だ。
しかし一筋縄ではいかないことを次の記事は示している。
独・中の救世主面のほうがオカシイよ
川口 マーン 惠美作家
スピーチの中でトランプ氏は、アメリカがなぜパリ協定を離脱するかという説明もしている。アメリカでは、トランプ大統領のこのスピーチの後、株価が上がっている。
「パリ協定」は、各国が温暖化防止のために自国の目標を決めて努力するというが、拘束力はない。ドイツは守れないことが確実になっておりパリ協定の特徴は、排ガス規制の進んでいる先進国がさらに厳しい規制を自国に課さなければならない一方で、途上国のCO2排出が野放しであること。
たとえば、世界で一番大気汚染のひどい都市を抱えるインドは、将来まだ火力発電所を現在の2倍に増やせるし、世界第2の経済大国である中国(途上国扱い)も、2030年まではCO2を増やしても違反にならない。現に中国の石炭火力発電所は、目下のところ、ほぼ一週間に1基の割合で増えている。
先進国では経済成長が限られている上、すでに環境対策が進んでいるので、今後、爆発的にCO2が増えることはあり得ない。先進国でCO2が確実に増えるのは、原発をほぼ止めている日本と、これから止めようとしているドイツだが、この2国で排出しているCO2の合計は世界全体の6%にも満たない。
かつて世界一の排出国だったアメリカシェールガスへの移行で、CO2排出は減少傾向。現在の排出量は中国の約半分だ。しかもその差は、今後、急速に広がっていく。
パリ協定のシナリオでいけば、近い将来、CO2は急増し、そのほとんどが途上国で排出されることになるアメリカがパリ協定を離脱しても、しなくても、世界の気候には何の影響もない。
パリ協定は「先進国が途上国に毎年1000億ドルを拠出する」アメリカが抜ければ拠出金が減る。他の先進国もバカバカしくなって抜けてしまえば、パリ協定が本当に崩壊する可能性が出てくる。
このお金がなければ途上国は協定に加わるメリットもないし、実は先進国側も困る。なぜならこのお金で、途上国が太陽光パネルなどさまざまな環境良品を買い、環境対策のテクノロジーを導入し、あるいはダムや発電所を造り、拠出金が先進国の企業に還元される仕組みとなっているからだ。
中国、太陽光と風力発電が急増している。6月1日のベルリンの共同記者会見で李克強首相いわく、「我々は国際的な責任を担う」、「中独関係の安定は世界平和へのシグナル」。
メルケル首相「私たちは(神の)創造物を守るためにパリ協定を必要とする。(略)この惑星の未来を大切だと思う人全員に私は言いたい。皆で一緒に歩もう。母なる大地を成功とともに守るために」。
褐炭を燃やしてCO2を増やしているドイツと、PM2.5を日本にまで飛ばしている中国が、いつのまにか、地球の救世主になっている。これはトランプの離脱を避難する側にも大きな矛盾を抱えていることを示している。
本当はトランプ大統領は、離脱はしないがパリ協定の見直しを提案することが最もカッコウが良かったのだが、どうせ乗ってこないと見たトランプ大統領は離脱を決定した。要はこれからのフォローが大事となる。トランプ大統領は新たな協定をリードすべきだし、イーロン・マスク氏も孫正義氏もそれをトランプに訴えるべきだろう。