私はバリ島が大好きで滞在は7年に及び、今も年に一回は滞在を続けている。バリを理解するためにはサンギャン(サンヒャンとも記される)舞踊の理解が避けて通れない。少しづつ理解を深めていきたい。
バリの古い伝承によれば、サンギャン(サンヒャンとも記される)舞踊は災害や伝染病などの不幸を祓うためのものです。この舞踊にはさまざまなバージョンがあり、天女の舞踊、馬の舞踊、お化けの舞踊など20種類以上が存在します。
サンギャンの一つ、「天女」は、シワ神とその妻ウマの神話に基づく存在で、この舞踊はかつてムチャル儀礼やバタラガナクマラ神に関連する寺院祭で行われていました。伝説によれば、悪霊プタカラはこの舞踊を愛しており、しかし舞踊の後に悪を追い払う神、バタラガナ・クマラの存在に驚き、逃げ去ると言われています。
このバタラガナ・クマラは、災害や不幸を遠ざける神として知られています。そのため、バリで伝染病などの災厄が迫っている時には、サンギャン儀礼が行われ、少女が村の人々とその祖先を結びつける役割を果たすのです。
しかし、バリのT村の住民たちは、サンギャン儀礼をヒンドゥーのパンチャヤドニャのカテゴリーに分類するという考えを持っていません。彼らにとって、サンギャン儀礼はヒンドゥーバリの伝統の中でのもので、ヒンドゥー・ダルマの教義の概念とは異なるものです。
T村の人々は、サンギャン儀礼の際に、サンギャンを招くための祈りを行い、儀礼の終わりには、少女に降りてきた神を再び天へ送り返すための祈りを行います。
神迎えの歌は、天女たちが天から舞い降りる様子や、その美しさ、彼女たちへの賛美などを歌っており、この歌を通して天女たちを招待しています。
サンギャン舞踊はバリの伝統的な舞踊であり、災害や病気などの不幸を祓う力があると信じられています。しかし、その意味や概念は場所や文化によって異なり、ヒンドゥー教の教義と直接結びついているわけではありません。
- サンギャン舞踊: バリの伝統的な舞踊で、災害や伝染病を追い払う目的で踊られる。
- ムチャル儀礼: 浄化の儀式の一つで、供物を捧げることを伴います。
- プタカラ: バリの伝説の中の地下界の悪霊。
- バタラガナ・クマラ: 災害や不幸を遠ざける力があると信じられる神。
- パンチャヤドニャ: ヒンドゥー教の儀礼や祭りをカテゴリ分けする概念。サンギャン儀礼がどのカテゴリに該当するかは明確ではありません。
- ヒンドゥー・ダルマ: ヒンドゥー教の教義や教えを指す言葉。
- プングクパン: 神迎えの歌。天女を呼び寄せるための歌詞が含まれています。
サンギャン舞踊は、バリの伝統とヒンドゥー教の教義とが融合した形で存在し、特定の概念やカテゴリーに簡単に分類することは難しい。この舞踊や関連する儀礼は、バリの文化や信仰の中で特有の意味と価値を持っています。