まさおレポート

当ブログへようこそ。広範囲を記事にしていますので右欄のカテゴリー分類から入ると関連記事へのアクセスに便利です。 

スマートシティー構想 善意の衣の下に価値観戦争の鎧が

2020-05-12 | AIの先にあるもの

スマートシティー構想においては国の命運を担うほどの巨額の投資と抜き差しならないほどのビッグデータ共有が前提となり必然的にネットテロの脅威にさらされることになる。

国際間の善意を前提とした無邪気なグローバリズムからの脱却が政府にも企業にも必要でこれまでにも警鐘が鳴らされてきたが今一つ日本政府は鈍感なように見える。それが今回のコロナ禍で中国の危険性が切実に認識された。価値観戦争の現実がようやく認識されたと言ってよい。

我々は今そこにある危機に直面しないと手を打たない、よく言えば善意の国、相手からすれば与しやすい国とみられる。しかし米国トランプ大統領は5月1日に「送電網に関する国家非常事態宣言」を発している。このテロリスクに対する感度の差は一体どうしたものだろう。

政府のスマートシティー構想はバラ色の未来をグローバリズムとともに描いて見せるが、同時に必要なネットテロの脅威への警鐘やそれに立ち向かう法律の準備など早急に必要なことはまるで別の問題でもあるかのように触れていない。

せいぜい防災に留意しているくらいだ。内閣府のサイトには下記のように「災害等」がさらりとうたわれている。あたかも「そうした問題を議論する場ではない」とでも言いたげだ。

日本が提唱するSociety5.0の先行的な社会実装の場
 IoT・ビックデータ等の先進技術を活用し、都市の課題(交通、健康・医療、災害等)や地域格差の解決を図るもの

中国国家電網公司が日本を含む送電網・通信網を構想し、その技術的基盤にファーウェイのスマートグリッドを置くと言う実に危険なプロジェクトがスマートシティー構想に乗っかって入り込む危惧を書いた記事を読んで一層その感を深くした。https://jp.wsj.com/articles/SB10552000681379593860504586357943401555256

今回の自治体首長のマスクや防護服、呼吸器など喫緊の必需品を求める動きをみると自治体首長や孫正義氏の純粋な善意は確実に日本国民の中に感謝の念を植え付け、自治体首長はその恩義に報いるために中国国家電網公司が企む送電網・通信網計画に賛意を表し、簡単に中国共産党の遠大な戦略のもとに取り込まれてしまう日もあるいはやってくるのではないかとの感を深くした。

自治体首長の市民を思う心情に嘘はない。孫正義氏の再生エネルギーへの思いも氏の純粋な志の発露であることは一点の疑いもなし。しかし相手は中国共産党である。市民を思う心情や志の発露で太刀打ちできる相手では到底ないと覚悟しなければならない。いかな孫正義氏でも中国共産党の価値観戦争には歯が立たない。

2月頃マスクや防護服を中国へ送って余裕と善意を示していた自治体首長に対し今度はマスクや防護服、呼吸器など喫緊の必需品を「販売してあげる」ことでコントロールする。中国共産党にとってこんなことは赤子の手をひねるより容易なことなのかもしれない。

自治体首長や中国製品を利益なしで提供する筋道をつけた孫正義氏の行いは善意でやむに已まれぬ行為であることはすぐに理解できる。しかし十分にその危険を感じ取ってほしい。純粋な善意を利用されていつのまにか危険なプロジェクトの浸透を許容してしまう、そして気が付いたときは抜き差しならない状態に陥ってしまう。

尖閣諸島への侵入や南シナ海の事例をみればすぐにわかることだ。中国共産党は恩を売って相手の懐に入り込みその国を勢力下に置く野望を隠さない。

アフリカ等の貧国に金を融資して身動き取れなくする戦略は既に世界の非難の対象になっており、貧国ではない日本に対してその戦略は考えられない。しかし今回のコロナ禍では新しい戦略を見出したようだ。世界が喉から手が出るほど欲しいマスクや医療品の提供ならニューヨーク市長でさえもさえ中国に謝意を表す。日本の自治体首長もこのような戦略の下ではイチコロだろう。孫正義氏は純粋な善意からその仲立ちをする。中国共産党はコロナ禍では金を融資するのではなくマスクや防護服、呼吸器など喫緊の必需品を提供することで「善意」を提供する。

 

例えばスマートグリッドが日本のスマートシティー構想に入り込んだとしたらどのようなリスクが考えられるだろうか。スマートシティーに張り巡らされた熱センサーや振動センサーは居住民がどの部屋のどの場所にいるかを検知する。もともとはAI(人工知能)が遠隔でライトやエアコンを調整するためのセンサーだが日本国民の自宅の通信事情やふるまいがビッグデータとして中国共産党の手に渡るという巨大リスクに直結する。 

日本政府は例えばこうした「アジア・スーパーグリッド構想」における電力インフラの脅威に対する施策を打っていない。日本政府はスーパーシティー構想でこうした脅威の芽をつむことが最も重要なことだとの認識はいまだないようだ。すくなくとも表立っては研究会などで議論されていない。

コロナ後のスマートシティー構想は大きく変わらざるを得ないだろう。

麻生財務相は、「しばらくするとコロナ後、コロナ前という言葉が多分定着してくるほど世の中はすごく大きく変わる」と指摘。「グローバリゼーションの見直しが起きてくるのは当然」とし、「日本の立ち位置をどうしていくか改めて検討していかなければならない、そういう時期に来る」との見方を示した。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-12/QA73ZUGQITJ401


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。