2024年のノーベル物理学賞はジョン・J・ホップフィールド氏とジェフリー・E・ヒントン氏に授与された。ホップフィールドは「ホップフィールドネットワーク」を提唱し、記憶とパターン認識の理論を構築した。一方、ヒントンは「逆伝播法(バックプロパゲーション)」を提案し、ニューラルネットワークの訓練を飛躍的に効率化した。
「ホップフィールドネットワーク」は、複数のノード(ニューロン)から構成され、それぞれが他のノードと双方向に結びついている。
「エネルギー関数」と呼ばれる数学的な指標が設定されており、ネットワーク全体のエネルギーを最小化することが目的。
ホップフィールドネットワークが部分的な「A」の入力を受け取ったとき、部分的な情報から完全なパターンを復元する、これは「記憶されたパターン」に基づいたパターン補完機能。ホップフィールドネットワーク以前にも、脳をモデル化しようとする試みは、1940年代に提唱されたマカロックとピッツのモデルで、これがニューラルネットワークの初期の基礎となった。しかし、このモデルは学習能力がなかったため、発展が限られていた。ホップフィールドネットワークが登場した1980年代は、エネルギー最小化やパターン補完など、学習や記憶をシミュレートできる新しいアプローチを導入した点が画期的だった。
ノーベル物理学賞といえばわたしには理解不能な理論や実験が説明され、はっきり言って説明している記者自体本質を概略でも理解しているのか疑わしいケースがほとんどだろう。もちろんわたしにも理解不能なケースがほとんどだが。今回に限っていえばわたしがかつて携わったコンピュータのデータベース検索システムからの連想がとても良い具合に。(とんでもなく勘違いしているかもしれないが)
ホップフィールドネットワークをわたしがかつて携わったコンピュータのデータベース検索に模倣すると、インデックスの数が膨大になる。この問題を解決するために、いくつかの方法が用いられている。
1.スパース結合: 全てのノードが結びつくのではなく、一部の関連ノードのみを結合させることで、計算負荷を減らす。
2. 局所更新: 全体のノードを一度に更新するのではなく、少数のノードを順番に更新することで効率化を図る。
3. 近似法: 完全な解を求めるのではなく、近似解を利用して計算負荷を軽減。
これにより、大規模なデータベースに対しても実用的な速度と効率で検索を行うことが可能になった。
技術的には、ホップフィールドネットワークはかつてわたしが携わったデータベース検索に似た仕組みを持っているが、スパース結合や局所的な結合という当時では想像もつかなかった技術用いて計算効率を改善してい。
従来のデータベース検索が全てのエントリを検索対象にするのに対し、ホップフィールドネットワークは特定のノード間の重みを調整することで部分的なデータ入力から最適なパターンを補完するという。このようなスパース結合や近似法は私には深い理解は無理だが、膨大なインデックスを必要とせずに効率的な処理が可能になる方法と言われるとそこまでは理解できる。
1980年代に開発されたデータベースシステムData Tree MUNPSを思い出した。これは多次元のデータを扱う高度なインデックス付けを特徴としていた。MUNPSは、従来のデータベース技術とは異なり、複数のインデックスを同時に管理し、データの検索や参照を高速化することを目的としていた。これにより、大規模なデータセットを扱う際に、効率的で柔軟なデータアクセスが可能になるという。複雑なデータ構造や関係性を表現するために特化したアプローチで、当時としては先進的な技術だった。
1980年台にこのデータベースを使って高度なデータベースを作り開発しようと試みたが諸条件が満たされず断念した記憶が蘇った。
今回のノーベル賞受賞は過去の仕事をおもいださせてくれた。これは多次元のデータを扱う高度なインデックス付けをニューロン化したものだとわたしなりに理解できた。さて当たっているかどうか。