巨人走り

　梅雨が明け、光がよみがえる。
今日は湿度が少ないよ。木陰が心地よい。

　上の二人は親離れ。
仕方ないので末っ子と夏の散歩に。
凸凹の土手でいつものおふざけ。
「巨人走り」という。

　漫画「進撃の巨人」で主人公たちを悩ませるのが
アホ面でニヤけながら人を喰らう夥しい「無垢の巨人」。
弛緩した顔と上半身。つま先荷重で、倒れこむように歩を進めつつも
伸びた背すじ・・・

　アニメーションだとそのヘンテコな可愛らしさと
食べに来るスピードの怖さが癖になる。

　先日、自作サンダルで山を走った時の、特に下り。
手をひらひらと横に開き、滑らないように、ブレーキを
かけないように、歩くともなく走るともなく。

　アホ面して巨人走りしていた49歳は気づいた。
力まず、重力を生かして推進力を得る解放感。

　末っ子と顔を見合わせて
うあーと走る。

「おとう、また巨人走りしようね」

　よしよし、山で壊れた初号機をリサイクルして
君にも巨人の足を作って進ぜよう。

そして私は弐号機。
アスカの赤。

あったり前でしょ！