ARE 「朝日歌壇2月4日」 KORE
2月になり、新年の歌が載りはじめた。今年はヘビ年ですよという歌に☆がついている。
<馬場あき子選 佐佐木幸綱選>
☆解体の家より蛇が這ひ出でて穴を探して凍土さ迷ふ (香取市) 関 沼男
★佐佐木選者の「評」
蛇は冬眠中だったのだろう。かわいそうでしかし可笑しい。俳句的な題材を、うまく短歌にまとめている。
❤ 蛇についてのささやかな私の思い出を書きます。
酒に酔った父が何度か話したことがあった。姉が二歳のころ、庭で蛇に巻きつかれた。父はタバコに火をつけ、その煙を蛇の頭に近づけたら蛇は逃げ出し、姉は蛇にかまれずにすんだ。しかし、父の「蛇退治のお噺」には証人がいない。二歳の頃のことを姉は記憶しているはづもなく母もその場にいなかった。しかし当時は世田谷に住宅が少なく、木々が多かった。幼いころ、私は家の近くで時々蛇を見た。二歳の姉に蛇が接近したことがあつたかもしれないが、父の蛇退治は?なのである。「父性愛」を誇示するお噺だっのではないか。。酒に酔ったときしか話さなかったのはフィクションだったからか。あの世の父に聞きたいことの一つである。
※松井多絵子プロフィール 「未来短歌会」会員、第28回現代短歌評論賞受賞
第一歌集『えくぼ』第二歌集『厚着の王さま』(短歌研究社刊) 日本歌人クラブ会員
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