「朝日歌壇4月29日」
春になったのを喜んでいるのは人間や草木ばかりではなく、鳥は空を自在に飛びまわり、喜びを表している、うらやましいですね。三人の選者が1首づつ鳥の歌を採っていられます。
<馬場選>
★オオワシは阿寒の空たかく舞ふ絶滅危惧種となりしを知るや
(つくば市) 近藤 矩子
翼が60センチもあるオオワシはアジアに多いのに日本では絶滅危惧の鳥、あのオオワシは自分がそんなに貴重な鳥であることを知らないだろうなあ、と空飛ぶオオワシを見上げる作者。
<佐佐木選>
★ヒヨドリがお椀の形に啄んだ林檎の花咲く除染待つ庭
(福島市) 澤 正宏
春、赤みがかつた白い五弁の花が枝先に咲き、その球形の頭部に実がなる。ヒヨドリよ、林檎の花を食べないでほしいと願う作者。鳥には人の気持ちの伝わらないもどかしさ。
<高野選>
★カモメたち大きく円を描いては素っ気なく去る横顔が好き
(横浜市) 江連 夏帆
カモメは港湾の海上に群がって棲む。海の青にその白い胴が近づいたり離れたり。横浜に住む14歳の作者にはカモメがお友だちなのだ。結句の「横顔が好き」が冴えていますね。
※永田選者は水槽の亀の歌を採っていられますが、カメは爬虫類なので割愛しました。
(可児市)の豊田正巳さま、悪しからず。 松井多絵子
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