日毎の糧

聖書全巻を朝ごとに1章づつ通読し、学び、黙想しそこから与えられた霊想録である。

社会問題 

2009-07-29 | Weblog
 コヘレト4章

 本章は社会悪から問題を見る。

  1~3節 虐げと権力
  世の権力を持っているものは人を踏みにじり、そしてのし上がる。この世の支配原理は虐げと権力、弱肉強食であり、そんな中で人はもっとも大切なものを失っていく。コヘレトは1節「見よ、虐げられる人の涙を」という。失ってはならないものは悲しむものの涙を見る心である。

  4~6節 労苦について
  4節「人間が才知を尽くして労苦するのは、仲間に対して競争心を燃やしているからだ」と言う。これまた空しく、風を追うようなことだ。仲間同士の妬みや競争心が仕事を成功へ導くことがある。対抗意識は圧制と同じく非人間的なもの、ただ形が異なるだけ。人は隣人と限りなく張り合い競い合う。しかし働かない怠け者は自分を滅ぼす。成功を人生の目的とし、隣人への競争心を原動力として6節「両手を満たして、なお労苦する」生き方は「空しい」のである。むしろ、「片手を満たして、憩いを得る」ほうが良いのである。憩いとは静けさ、安らぎを指す。

  7~8節 孤独な富の追求
  富に魂を奪われ、暖かい人間的な関わり…仲間・家族をいっさい排除して際限なく労苦することは「空しい」ことだ。これでは何のために、誰のために富を得て喜びと幸いを持つというのか。

  9~12節 二人は一人に優る
  人は交わりに生き者として神に造られた。創世記2章18節「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助けるものを造ろう」とある通りだ。
主イエスの十字架は神と人との交わりを回復し、人と人の隔てを取り除くためであった。
 
  13~17節 名声の空しさ
  貧しくても、知恵と慎みを持って正しい勧告に従おうとする少年は、老いてどのような忠告にも耳を貸さなくなった王よりも良い(ヘブライ語=トーブ)。15節「太陽のもと、命あるもの皆が代って立ったこの少年に味方するのをわたしは見た」。民衆は英雄を求める。しかし民衆の人気や評価、支持など当てにならないものはない。これも風を追うようなことで、社会の評価や人気もこのようなものである。

   社会の様々な評価は権威や富、名声であるが、コヘレトは真に価値あるあるもが何かを鋭く追及する。そして結語は「空しい」ものと否定的であるが、しかしその判断基準を全く放棄しているのではない。

 ここで誰に「聞き従う方がよい」(17節)のかを読者に問いかけている。