サムエル記下20章
19節「わたしはイスラエルの中で平和を望む忠実な者の一人です。あなたはイスラエルの母なる町を滅ぼそうとしておられます。何故、あなたは主の嗣業を呑み尽くそうとなさるのですか」(新共同訳)
1節「そこにベニヤミン人ビクリの息子でシェバという名のならず者が居合わせた。彼は角笛を吹き鳴らして言った。『我々にはダビデと分け合うものはない。エッサイの子と共にする嗣業はない。イスラエルよ、自分の天幕に帰れ』」。ダビデにとって、一難去ってまた一難という反乱事件である。シェバの謀反はイスラエルとユダを分裂するもので、この檄をとばした結果、イスラエルはダビデを離れシェバに従った(2節)。エルサレムに帰った王は残していた十人の側女を監視付きの家に入れ、やもめのような生涯を送った(3節)。直ちにシェバの追跡軍に元アブサロムの臣下であったアマサを司令官に起用したが、賢明であったか疑わしい。それはダビデにとって功績のある従兄弟のヨアブの反発を買っている。アマサの追跡軍は定められた期日に戻らなかったのは、動員の困難さだっただろう(5節)。「アブサロム以上に危険だ」とダビデが言ったのは、ダビデ政権を引き裂く危険を取り去りたい執念が伺える(6節)。そこで別働隊の指揮をヨアブの弟アビシャイに当て、ヨアブの家臣を募りクレタ人、ペレティ人と勇士全員がエルサレムを出発した(7節)。しかし実際はヨアブが戦場の働きの主導権を握っていたのである。ヨアブはシェバを殺す前に、アマサを故意に殺してしまう。「剣が抜けた」とあるが、自然に抜け落ちたとは思われない(8~10節)。アマサの死体が道に放置されていたので、兵士たちは皆立ち止った。傍に立っていたヨアブの従者が上着をかぶせて道から除いたので、ヨアブの後についてシェバを追跡したが、彼は城壁に囲まれたベト・マアカのアベルに逃げ込んだ(11~14節)。ヨアブの兵士たちは、町の外壁の高さまで土塁を築いて城壁を崩そうとした(15節)。
16節「知恵のある女が町から呼ばわった。『聞いてください。聞いてください。ここに近寄ってください。申し上げたいことがあります』とヨアブさまに伝えてください」。ヨアブと会った彼女は、イスラエルの中で平和を望む忠実な者のひとりだと告げた(17~19節)。そして何故イスラエルの町を滅ぼし飲み尽くそうとするのかと訴えた。ヨアブは女に決してそのようなことはしない、町に逃げ込んでいるシェバという男がダビデ王に反旗をひるがえしているので、その男一人を引き渡してくれるなら、町から引き揚げると言った。そこで女はその男の首を城壁の上からヨアブのもとに投げ落とすと約束した(20~21節)。
22節「女は知恵を用いてすべての民のもとに行き、ビクリの子シェバの首を切り落とさせ、ヨアブに向けてそれを投げ落とした。…」。ヨアブは戦勝の角笛を吹き鳴らし、エルサレムの王のもとへ戻った。シェバ反乱軍はその指導者を失い町から退散した。18節「アベルで尋ねよ」は、ダビデ王位継承の決裁がなされたことを示す諺(言い伝え)であったようだ。女が知恵を用いて実現した平和とは何なのかが問われねばならない。
「軍靴を鳴らして戦場にむかう平和行進」というアイロニーが見えてくる。
キリスト者は真に主イエスが言われた「平和をつくり出す者」ピースメーカーでなければならない(マタイ福音書5章9節)。
19節「わたしはイスラエルの中で平和を望む忠実な者の一人です。あなたはイスラエルの母なる町を滅ぼそうとしておられます。何故、あなたは主の嗣業を呑み尽くそうとなさるのですか」(新共同訳)
1節「そこにベニヤミン人ビクリの息子でシェバという名のならず者が居合わせた。彼は角笛を吹き鳴らして言った。『我々にはダビデと分け合うものはない。エッサイの子と共にする嗣業はない。イスラエルよ、自分の天幕に帰れ』」。ダビデにとって、一難去ってまた一難という反乱事件である。シェバの謀反はイスラエルとユダを分裂するもので、この檄をとばした結果、イスラエルはダビデを離れシェバに従った(2節)。エルサレムに帰った王は残していた十人の側女を監視付きの家に入れ、やもめのような生涯を送った(3節)。直ちにシェバの追跡軍に元アブサロムの臣下であったアマサを司令官に起用したが、賢明であったか疑わしい。それはダビデにとって功績のある従兄弟のヨアブの反発を買っている。アマサの追跡軍は定められた期日に戻らなかったのは、動員の困難さだっただろう(5節)。「アブサロム以上に危険だ」とダビデが言ったのは、ダビデ政権を引き裂く危険を取り去りたい執念が伺える(6節)。そこで別働隊の指揮をヨアブの弟アビシャイに当て、ヨアブの家臣を募りクレタ人、ペレティ人と勇士全員がエルサレムを出発した(7節)。しかし実際はヨアブが戦場の働きの主導権を握っていたのである。ヨアブはシェバを殺す前に、アマサを故意に殺してしまう。「剣が抜けた」とあるが、自然に抜け落ちたとは思われない(8~10節)。アマサの死体が道に放置されていたので、兵士たちは皆立ち止った。傍に立っていたヨアブの従者が上着をかぶせて道から除いたので、ヨアブの後についてシェバを追跡したが、彼は城壁に囲まれたベト・マアカのアベルに逃げ込んだ(11~14節)。ヨアブの兵士たちは、町の外壁の高さまで土塁を築いて城壁を崩そうとした(15節)。
16節「知恵のある女が町から呼ばわった。『聞いてください。聞いてください。ここに近寄ってください。申し上げたいことがあります』とヨアブさまに伝えてください」。ヨアブと会った彼女は、イスラエルの中で平和を望む忠実な者のひとりだと告げた(17~19節)。そして何故イスラエルの町を滅ぼし飲み尽くそうとするのかと訴えた。ヨアブは女に決してそのようなことはしない、町に逃げ込んでいるシェバという男がダビデ王に反旗をひるがえしているので、その男一人を引き渡してくれるなら、町から引き揚げると言った。そこで女はその男の首を城壁の上からヨアブのもとに投げ落とすと約束した(20~21節)。
22節「女は知恵を用いてすべての民のもとに行き、ビクリの子シェバの首を切り落とさせ、ヨアブに向けてそれを投げ落とした。…」。ヨアブは戦勝の角笛を吹き鳴らし、エルサレムの王のもとへ戻った。シェバ反乱軍はその指導者を失い町から退散した。18節「アベルで尋ねよ」は、ダビデ王位継承の決裁がなされたことを示す諺(言い伝え)であったようだ。女が知恵を用いて実現した平和とは何なのかが問われねばならない。
「軍靴を鳴らして戦場にむかう平和行進」というアイロニーが見えてくる。
キリスト者は真に主イエスが言われた「平和をつくり出す者」ピースメーカーでなければならない(マタイ福音書5章9節)。