まだ、ワタシが現役でバリバリ働いていた頃(笑)、会社の新年度計画にやたらと聞きなれないカタカナが登場するようになりました。イノベーションとかセグメントとかのビジネス用語です。レバレッジドリース、デリバティブ取引など言われるたび、こちらの勉強不足を棚に上げて、日本語で言えや、とかぶつぶつ文句を言っておりましたなぁ。
お客さんや、会社の人間と話すとき、やたらとカタカナを連発する人がいましたね。小難しい言葉や、耳慣れない英語を使うのは、一つには、自分の優秀さや優位さを誇示する場合が多いように思いますな。私は、あちらの生活が長くて、とかビジネススクールで専門的な勉強しました、みたいな。ま、こちらも分かったようなふりをしてうなづいたりするのでどちらもどっちというところですが。
もう一つの目的は、論点をずらしたり、相手をけむに巻いたり、都合悪いことををはぐらかすことにある、と感じます。目新しい言葉を使うことで、相手の常識や経験を埒外に置いてよくわからない説明をするのです。IRとかAIとか、最近はやりの言葉を頭文字で呼ぶようになると要注意です。
武漢肺炎で、政府・省庁関係者が、唐突に横文字を並べ始めました。最初は、パンデミック、これはある程度衆知された言葉なので、さほど違和感はありません。ところが、「インバウンド(海外からの渡航者)」「オーバーシュート(行き過ぎ・感染爆発)」「クラスター(集団感染)」などと言い始めました。マスコミも真似して、報道番組で使いだして、えらく聞きづらい会話をしております。
さすがに、一部の放送局では気にして日本語に置き換えて解説しています。河野太郎さんも、ちょっとクレーム付けてますね。
都知事が「ロックダウン」と仰ったのはもう、外国かぶれのこの人の得意技でお約束でありますから目くじら立てても仕方ありませんかな。
いつも思うのは、人々の会話=コミュニケーションは、お互いに分かりやすい言葉で話すことが大事だということです。相手のレベルや立場・気持ちを考えてその人に適した話をするべきだと。いかに勉強して難しい言葉を知っていても、相手が理解できなければ無意味というものです。平易で簡明な言葉、しかも古来から使われる日本語を用いるのが本来の姿であろうと思います。
テレビで、したり顔でアジェンダとかコミットメントとかを使う自称識者・解説者を見るとイラっとするひとも多いでしょう。
いずれにしても、メディアや国民の前で、聴きなれない横文字を連発する政治家や役人がいたら、要注意であります。言葉を弄んで本質を隠そうとしている意思を感じます。
ここ数日で、急に三つの「密」を避けようと言葉の語呂合わせをテレビで紹介してますね。武漢肺炎にかからないために「密室」「密着」「密集」を避けてくださいと呼びかけています。今回の世界的なパンデミックの原因にもなっています。
しかしもう一つ大事な「密」を忘れてはなりません。
それは「秘密(内密)」であります。中国当局が謎の肺炎を隠した秘密主義が根源でありましょう。WHOの発表は中国との密談があったに違いありません。習近平さんを招くために多数の中国人の入国を素通しにしたのが感染拡大の主因というのが公然の秘密であります。オリンピックの開催を実現するために、検査を拒み、感染者数を秘密にして少なくみせかけたことも、有効な対策の遅れにつながりました。
秘密の「密」は、為政者の蜜の味でしょう。国家を維持し国民を守るために「秘密」にしなければならないことはあるでしょう。漏洩が国の安全、利益に損害を与える恐れのある情報を含む行政文書を機密文書(極秘文書)といいますね。
我が国では、自由に出したり消したり書き換えたりできるそうでありますが。