植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ヤフオク 安い中できらりと光るものを探して 

2022年12月24日 | 篆刻
メリークリスマス!であります。
当方は周囲に若い人や子供がいるわけでは無く、キリスト教にも無縁なので基本Xmasはなんの関係もありません。先日玄関先にエホバの勧誘が来ていましたが(笑)。恐らくワタシの血糖値対策を考慮して家内もワタシもケーキは無し、好物の鳥のモモ肉は、売る方が何日も前から準備しているのでたいして美味しくもなかろうと思います。

若き独身の頃は一大イベントであり、付き合っている彼女とプレゼントをやり取りする、イブにはディナーとしゃれこんだことも多かったのですが。

さて、今年も随分ヤフオクにお世話になりました。購入した総額はちょっとオソロシクて積算できません(笑)。しかし、それでも一品1万円以内と心がけて、欲しくてもエスカレートせず、我慢をしてなんとか小遣いの無駄遣いをセーブしております。

1000(2)、3102(4)、4544(6)、2000、2000、15510(5)、1200、3800、8000、4000、9550、5805、3920

これが12月(24日現在)一か月の篆刻印の落札実績であります。( )内は個数でそれ以外は1本の落札金額になります。26本で64,431円、1本あたり2,478円の計算になります。
実際はこの10倍以上の件数に「ウォッチ」し、入札しましたが、そのほとんどが数万円の高値に更新されたために涙をのんだ次第であります。
欲しい、これはいいものだと思っても、際限なくお金を投じることは危険であり、家庭不和の元であります。

市販されている印材は、数十年前から比べて格段に質が落ちていて外観も、石質も耐えられない程残念なものになっています。価格は大体一般的な6・7分程度の大きさで4~500円ほどであります。アフリカ産の青田石もどきで粗くもろいものです。また、かつて芙蓉石や高山凍などの銘石・良石を輩出した寿山石も、今や硬くて砂質・石英質などの夾雑物が含まれた粗悪な石ばかりとなりました。

ヤフオクで出品される中古石材や古材は、長きにわたる中国山地の乱掘で、ほとんどその資源が途絶えた良材が多数含まれているのです。お金には代えられない(今なら昔の値段の数倍となる)ような篆刻に適した石を確保するのはワタシにとって優先事項であります。

このひと月は、練習用やまとめてなんぼの普及品・駄石・人様の使用印は控え、それぞれが、希少石・美石という高級な石材に限るようにしました。篆刻し人様にプレゼントしても恥ずかしくない(かといって惜しいほどでもないような)石を物色していました。数本まとめての入札でも、「コレ」という目当ての佳石・良材が含まれていて他の石は無価値でも構わないという値決めで落札したのです。

前半の6件は、本ブログで既に紹介済みであります。本日はその続き、後半の7本の石のいくつかを披露します。くどいようですが、落札価格で平均2,500円のものですから、目の保養になるようなお宝と言えるレベルではありません。
まずこれ。寿山石で、数十年前割合新しい時代に「紐」が彫られている大型の石であります。
紐の細工自体も特段優れたものではありませんが、石は肌理が緻密で彫りやすそうなものです。高さ8㎝の堂々とした自然石形の印なので3,800円という落札価格は妥当であろうと思います。田中さんの姓名印が彫られているので、これは潰してしまいます。

次はこの豆印。この手の石は、贔屓目に見ると「印材の皇帝」田黄石である可能性もあるのです。田黄は数が少ないだけでなく、田坂という農地に埋まっていた産地限定の大変美しい石であります。2~300年ほど前、中国各地から多くの人が争って畑や川の傍を掘って探したのです。中国版ゴールドラッシュであったのです。

大きめの丸石は、今の価格なら数十万円以上、わずか数センチだけ尖った分を切り落として磨いて印面にしました。その切った残りもやはり小さな印材として大事に使われたのです。また、気の遠くなるような何万年という年数の中で水に丸められ土中で変質するうちに小さくなった欠片も、珍重され重さで相応の値段で取引されました。わずか最大2㎝たらずの小石であっても、磨かれ花の模様が刻まれ、きちんとした刻字が施されている時代物の印は、田黄石であったとしても不思議はありません。


こちらは青田凍石とか「紅青田・醤油青田」と呼ばれる類の石であろうと思います。青田石は中国浙江省で採られる一大産地でしたが、今世紀にはほとんど彫り尽くしていて優材は枯渇しました。かつては彫りやすく半透明で美しい凍石系は珍重されたようです。やや茶色に見えるものは醤油など有機物質で煮込んで着色したようです。実物は40×40×80㎜の大型印で、「講學鄒魯之間」と彫られています。紙箱には「07.4.6西安鼓楼の文物商街 500元」とメモ書きされていました。

この頃の中国の平均賃金は4000元であったそうです。日本円(@20円)で8万円ですね。ということは当時1万円くらいの買値であったのでしょう。作款には「壬戌 尚白」とありますのでこれを信じれば1922年か1982年に尚白さんが彫ったということになります。鄒魯は孔子の生まれた地とされ、また中国の革命家の名前でもあります。後者ならば活躍したのが20世紀前半です。

この印がお土産物屋さんで安く作って売られるレプリカ物やハンコを即興で彫る安直なものか、古物・文物商が商った骨董品かは定かでありません。
しかし、5,805円の落札価格で入手したものながらなかなかの代物に見え、決して高い買い物だったとは思えません。龍の姿を頂部に施した「瓦紐」が素敵なので大事にしたいものです。

最後がこれ。牛角凍かあるいは青田凍であろうと思いますが、古色然とした趣のある石で、ワタシの収蔵物でもこんな風合いの石はありません。側款に「未谷」の二文字があり、相当古い銘品に見えたのです。それは、この出品者さんが同様の古印数点を出品していて、いずれも数万円で落札されていたことからも類推されるのです。
「未谷」は、中国の学者・官僚であった桂馥(けいふく)さんの号であります。清の時代で『説文解字義証』 を著したことで知られ印・字に明るく、その篆刻作品は少ないと言われます。この人の手になる印ならばとても貴重で価値があるのでしょう。

もう少し調べて研究する愉しみのあるような、ワタシにとっては大変魅力的な石でありました。

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