議院内閣制をとっている国は、日本、英国、ドイツ、スペイン、オランダ、スウェーデンなどがある。
議会で多数を占めた政党(連立を含め)から内閣総理大臣を出すという仕組みを言う。
だから与党と内閣は比較的に一体感を以て動きやすい。
一方、官僚機構は戦後一貫して、与党や内閣からやや独立した組織として、この国を導くという矜持を以て動いていた。
(そのことがややもすると官僚の特権を行使した権力として批判される)
しかし小泉政権のころから、与党も野党も官僚機構は時の政権に順うべしという議論が主流になった。
この流れが完成したのが、安倍・菅政権による内閣人事局の創設だ。
(官邸が各省の幹部人事を一元管理する)
この仕組みを極めて恣意的に運用したのが安倍・菅政権。
そして森友、加計問題にみられる「官僚の忖度」問題だ。
日本が政治改革の参考にした英国の議員内閣制では、「政治家は官僚の人事に介入しない」、という原則がある。
これは政権与党と内閣が一体化しやすいので、官僚組織までが従属するようになると、危険だ(独裁化しやすい)という経験則があるのではなかろうか。
安倍・菅政権で今や官僚組織は疲弊して来ている。
優秀な学生も中央官庁への就職希望が減少し、現役の若手官僚の中途退職が相次いでいるという。
何とも危うい状況だ。
戦後一貫して「官僚機構」は、日本のシンクタンクとして機能してきた。
本来政治家が持つべき機能を代替してきたのだ。
今日の朝日新聞に載っていた京都大学公共政大学院教授嶋田博子さん
(86年人事院入庁。2019年から現職)
「もし今の官僚が”民主的コントロールの対象”としてのみ、まるで要求通りの結果を出す無表情な機械のように扱われているとすれば、官僚の人材不足はより深刻になり、公益を損ねる可能性もあります。その懸念を、国民の皆様にもぜひ知って頂きたいと思います」