プールの壁に何枚も貼られているチラシ。嫌でも目に入る。

野菜をたっぷり食べた気になるサラダランチ。ドンコナコネリー品川。美味しい。
『成人スイミングレッスン』のご案内。わざわざ成人と謳っているけれど、ここには子供は来ない。週2日平日の午後に開催されるようだ。費用も安いからわたしも習いたいくらい。
チラシにはコーチとして3人のトレーナーを紹介。バストショット写真を掲載している。
1番左にはハービー、初心者向けにクロールと背泳ぎ担当。
真ん中と右に若手トレーナーのMくんとSくん。二人で中級者向けのクロールと背泳ぎ、初心者向けの平泳ぎを担当するらしい。まだ20代前半のイケメン。ミルキーの弟くらいでもいい年頃。かわいい。
若手二人はクラブのロゴ入りポロシャツ。初々しい爽やかな笑顔。なぜかハービーだけいつも着ている黒のパーカーにいつもの黒縁メガネをかけて塾帰りの小生意気な小学生のようだ。
昨日のこと。ゴリマッチョトレーナーのアドバイスもあってインクラインチェストプレスというのを始めた。フラットな台ではなくて少しだけ頭を高くしてバーベルを持ち上げると、胸の中央に筋肉が付くという。
ハービーに補助してもらいながら、輪っかなしのバーを上げ下げして起動をを確認。背中はべったり台につけること、腰は浮かせない、床に対して常に肘から先が垂直。
ハービーもいるし、絶対に大丈夫だと思うけれど刑事コロンボで被害者がバーベルが首の上に落ちて死んだように偽装されていたのを思い出してちょっと怖かった。
ハービーがいつもスクワットでよこしてくる大きさの輪っかを取り付けていた。多分両方で15キロくらい。吸って、吐いてと言われながら、腰を浮かせるなと腰骨を押さえられ、なんとか上げながらもお喋り。
「プールのチラシ見たよ」
「あ、見てれましたー?」
「あんなに貼り付けてたらいくらなんでも目につくよ。なんで、一人だけパーカーなの?またTシャツ忘れたの?」
「違いますよう、Tシャツのロゴを隠すためですよう」
ハービーはクラブの社員ではなく、フリーのトレーナーなので、お揃いのポロシャツは着られず、かと言ってパーソナルトレーナーのロゴ入りシャツもクラブ主催のプログラムなので見せられないのだとか。いろいろ決まり事があるのね。
「そうなんだー、でも、あれだね。ハービーも単体で見てるといつまでも変わらないような気がしてたけど、若手二人と並べるとさ」
「なんですか?」
「いやいや」
「あの子達と10歳くらい違うんですよー」
「だよね、ふふふ」
「でも、ほら僕には30代の男の色気があるでしょ?」
「・・・・」
「男は30からだって言いますしね。溢れんばかりこの色気!」
「・・・・ちょっと、この輪っか重たい」
「くるりさん、聞こえてます?」
「・・・重たい」
「くるりさん?」
「あ、ごめんごめん。30代がどうしたって?パーカーメガネの人のこと??」
「パーカーメガネは僕ですよ、もう悪口じゃないですか。そうじゃなくて30代の男の色気です!ちょっと重り足しちゃいますよ!」
わたしのトレーナーはパーカーメガネ、塾帰りの小学生。男の色気を感じたことは露程もない。でも水泳習うなら、パーカーメガネのクラスに行くよ。

野菜をたっぷり食べた気になるサラダランチ。ドンコナコネリー品川。美味しい。