『カニバリストの告白』
露悪的なマドセン作。
やっぱり露悪的であったけれど
吸収主義というのは面白いかな?
外部のものを取り入れてエネルギー変換している
という生命体としての構造から考えれば
その通りだと思う。
外と内部を唯一つなぐものといえるのではないだろうか。
”食べる”ということを以前は全く楽しいと思わなかった。
肩口にキャップがあってガソリンのようにエネルギーを入れ
られれば楽なのにと思っていた。
昨今は楽しむことができるようになった。
一緒にいる人の影響を受けたと思う。
共感覚のスイッチというのも面白いと思う。
音が色に見えたりしたらとても楽しいと思うのだけれど
その機能はわたしには備わっていないらしい。
人肉は人の感覚を狂わせるトリガーになるのだろうか。
共食いはとても興味がそそられるけれど、実践すること
はないだろう。
いくつか食人をした記録を読んだことがあるけれど
美味しいといものと、食べられたものじゃないというのと
別れるのはやはり意識の問題なんだろうか。
主人公の絶対的一線はあの殺人は犯していないというところ。
これも偏執的でとてもおもしろい。
全体としてはマドセンお得意の入れ子構造でこれがただの
妄想か、主人公の告白かはわからない。
個人的にはジャンヌがお気に入り。