映画「BECK」が公開されている。
その主なロケ地が横須賀だ。
堤監督が「音楽の息吹が感じられて、英語が自然と街になじんでいる場所」を、ロケ地の条件としたことによる。
“音楽の息吹”が、あの X JAPAN の HIDE に関連しているのではないかと憶測するのは穿ちすぎかもしれないが、そんなことを思いながら、同窓会からメルキュールホテル横須賀に戻る途中、ひょいっとのぞいてみると「一福」に灯りが点いていた。
高校生から予備校生だったあの当時、アルバイトをして、懐が暖かくなると、よく立ち寄った店で、当時は労働者のたまり場だった。
米軍基地に働く全駐労関係の人や、造船所、メリヤス工場、そして土木や建築工事の人で賑わっていた。
あれから、35年経過している。
入ってみると、左手にカウンターがあって、テーブル席が疎らにある。
当時を思い出すものはないかと、キョロキョロ見回すと、あったあった品書きを板書した黒板だ。
そして、懐かしいホッピーの張り紙。
ビールの価格が高くて、庶民には手が出せなかった時代、こればっかりは、たらふく飲めて、3杯もお代わりすれば足元に効いた。
今では、ジョッキで出すようになったけれど、デカンタのような湯飲みのようなガラスコップだった気がしないでもない。
そこへ焼酎が半分入っている。それも「源氏」でなければならない。
「氷入れる?」と聞かれて一瞬とまどった。
氷が入っていただろうか?
35年前には、性能のよい冷蔵庫も、まして製氷機なんてものはなかったから、記憶の中では、氷屋から仕入れた大きな氷をアイスピックでかち割ったヤツが浮かんでいた気がする。
ホッピーを、氷と焼酎の入ったジョッキに半分ほど注ぐ。
割り箸を取りだして、そっと一回しする。
そっとするのは、半分飲んでから、残りのホッピーを入れたときの濃さを考えて、先に濃い口当たりにしないためだ。
横須賀でのホッピー初登場は、横須賀中央駅前の「中央酒場」といわれているけれど、私的には「一福」ではないかと思っている。
なぜなら、横須賀中央駅周辺は、三笠ビルや、さいかやデパートなど、東京でいう銀座に行くのと同じような場所で、どちらかというと、官庁や銀行、証券会社といったホワイトカラーが多かった。
それに対して、汐入駅はブルーカラーが多い。
ホッピーの発売は昭和23年、一福の創業は昭和24年、中酒は昭和28年の創業だ。
そして、「冷やし」の問題がある。
電気冷蔵庫が、家電三種の神器として普及しはじめるのは昭和30年代からで、それまでは、上部の棚に氷塊を入れて保冷する木製冷蔵庫だった。
一福は、米兵から「ワンラッキー」と呼ばれ、基地の組合食堂だったから、物の無い時代でも、食材にしろ、機材にしろ優先的に入ってきたのではなかろうか?
今でも活躍しているレンガ積みのコンロがその歴史を物語っている。
さて、注文は、ホッピー480円(見出し写真)のほかに、定番「牛肉豆腐」480円。
35年前の味そのままだった。感激!
ちなみに、HIDE は、一福でホッピーを飲むと、肴は牛スジ、食事は中華丼だったという。
そして、揚げ物は、私的には、当然、イカフライ410円といきたかったけど、串かつ480円を頼んでしまった。
それで、ソースをかけようとテーブルを探すと、どれがなんだか表示がない。
そう、ここは常連しか利用しない食堂なのだから、内容表示は無用だ。
その延長という訳ではないが、店の人がお愛想するなんて気はサラサラない。
飲兵衛が飲みたいとき飲み、食べたいとき食べるだけで、酔っぱらい同士勝手にしゃべっていればいいという距離感を大事に守っている・・・。
goo地図
一福よ、永遠なれ! また、行くぜ!
屏風ヶ浦駅前の蕎麦屋(今はない)で飲んだのですが、
氷は入っていなかったです。
冷たい焼酎とホッピーでした。
それにしても良い店ですね。
行ってみたくなります。
「横須賀・軍港めぐり」という船が、
汐入駅を降りて、ショッパーズという
大型ショッピングセンターの横から出ています。
今度、ツアーでも組んでみますね・・・。