今でこそ「横浜」というと、平坦な土地に広がった都市と見られがちだけど、都心部といわれている場所のほとんどは海面を埋め立ててできあがった土地だ。
横浜駅周辺は帷子(かたびら)川の河口を、関内から伊勢佐木町周辺は大岡川の河口を埋め立てた。
市域の南西部を除けば武蔵国で、その名の通り、武蔵丘陵の南端として、幾重にも丘が重なる。
必然、谷戸地名と道筋には坂が多い。
山下橋を通るバスに乗り、今はバス停の名前だけに残った「貯木場前」で降りると、街並みに迫るように木々で覆われた崖が続く。
それが陸と海とを隔てた境界線と思われるが、京浜工業地帯を形成するための海面埋立事業を手がけた浅野総一郎の陣頭指揮のもと、大正期に、発破により数十メートルほど内陸に削られているともいう。
その崖に、坂がつけられている。ちどり坂とも、むじな坂ともいう。
名前の由来も、いつごろ坂ができたのかも、わからないが、登り詰めたところに、昔、大蔵省の官舎があった。
もっと遡れば、開港当時のイギリス軍駐屯地・イギリス山といわれた場所だ。
坂の途中に、横に掘った貯蔵庫のような、井戸のようなものがある。
何か坂に関連しているのかどうか?
坂を上り詰めると、県立近代文学館脇の橋脚の下に出る。
橋を上まで登れば、港の見える丘公園に至る。
横浜デートをした人なら、この景観は忘れないだろう。先に見えるのは大佛次郎記念館だ。
記念館の喫茶室・霧笛でティータイム。少々古くはなったが、いつ来ても雰囲気は昔のままだ。
ローズガーデンの向こうに、イギリス館がある。昔、英国領事の公邸だった。
外国人墓地と横浜気象台の間の道を進むと、アメリカ山公園につく。
そこから、谷戸坂越しにフランス山が見渡せる。
みなとみらい線で1駅。日本大通り駅で降りる。
いつかUPしようと思っているうちに、ときが経ってしまった。
これらの写真は、10日ほど前のものだ。3日の嵐で、ほとんどの落葉樹は見る影もない。
そんな横浜に、わざわざデートしに来るカップルって、ただ者ではないと思ってます。
そのためにも、お決まりコースではない場所を紹介してみます。
とりあえず、今度は「牛坂」です。