横浜がドラマの舞台になっている、一話完結の探偵推理ドラマがはじまっています。
車を走らせるシーン(見出し写真)は、横浜市中央卸売市場の入出路を使っているほか、お決まりの日本大通りや海岸通り・大さん橋入口のS字カーブ交差点なども背景として登場しています。
第3話では、遊園地として、金沢区にある八景島シーパラダイスが舞台に。
登場人物は、探偵事務所の社長に江口洋介さん、インドからの帰国子女で探偵助手の広瀬すずさん、天才探偵を標榜する迷探偵に嵐の櫻井翔さんが役を演じます。
また、横浜を舞台にした刑事ドラマ・あぶない刑事のタカとユージも、勝地涼さんと中村蒼さんのコンビでストーリーにからんできます。
探偵事務所は、中区相生町。
残念ながらランチ時に開店していないため、メタ坊は入ったことはありませんが、ジャズの生演奏が楽しめるバーのある建物を使っています。
グーグルストリートビューで確認(ここをクリック!)できます。
とにかく、ロケーション撮りもさることながら、例えば上写真をよく見ると屋上にホテルの入り口が作られているなど細部にまでこだわった装飾や物品があちこちに作り込まれていて、かなりこったドラマ作りがされています。
第2話では「私立探偵 濱マイク」の探偵事務所があった横浜日劇の系譜を引き継いだ「シネマ・ジャック&ベティ」が道具屋の隠れ家として使われています。
今後、相生町がらみで、閉店した「梅香亭」が中華料理屋という設定で出てくるのではないかと期待しながら見ています。
ちなみに、第4話に登場する「横浜のデカルト女学院」は、横浜らしからぬ海岸風景が映りこんでいます。
横浜で砂浜と松林があるのは、金沢区の人工海浜「海の公園」だけです。
この高校は、千葉県鴨川市にある私学の鴨川令徳高校です。
昨年夏、ジャニーズの美少年を主役に公開されたテレ朝ドラマ「真夏の少年」でロケ地となりました。
ネメシスは、一話完結とはいえ、いくつもの伏線がはられていて、軽いテンポでありながら何か最後にあっと言わせるような展開を予感させる終わり方をします。
最新話の見逃し配信は、TVer.(ここをクリック!)で、無料でご覧になることができます。
ただ、これまでの話の展開も抑えておくことをお勧めしますので、公式ホームページ(ここをクリック!)の各話のあらすじを読んでおくとよいかもしれません。
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「ネメシス」というタイトルがどういう意味を持っているのか、公式ホームページでは「正義の鉄槌で悪を砕くギリシャ女神」とコメントがあります。
そこで、メタ坊の本棚にある「ギリシャ神話小事典(教養文庫)」で、ネメシスを調べると・・・
運命の女神たちの姉妹。運命の女神が人間の運命を支配するのを、必然(テミス)の2人の姉妹たちが助けていたが、その娘たちがネメシスとテュケであった。テュケの仕事は運を配分することだったが、彼女は狡猾、かつ無責任で、もっぱら自分の強いえり好みで動いた。誰かが好きとなるとテュケは山のような幸運を与えた。だが彼女に嫌われると、どんなに有能でも、勤勉でも、有徳の士でも、運の向く見込みはないように思われた。しかしテュケの気まぐれは、その姉妹のネメシスを動かしている神の正義感によって帳消しになった。もしテュケの寵愛を受けたものが、自分の手柄を自慢したり、その幸運を他人と分かち合うことを拒んだりすれば、たちまちネメシスが介入し、その男を幸運の絶頂から突き落とすのだった。逆にまたネメシスは、テュケが無名のままいやしい地位に甘んじさせている才能のある人間を掘り出して、浮かび上がらせることもしばしばあった。ネメシスはそうした男に非凡な力を吹き込み、そのお蔭でこの不幸な男は不幸のかせを断ち切り、その才に値いする立派な地位が与えられるのだった。このテミス(必然)の美しい娘は、りんごの木でできた有為転変を表わす車を持ち、おごりたかぶるものをこらしめる鞭を腰の帯につけていた。彼女の手で苦しめられたものは、ネメシスを復讐の女神と混同しがちだが、これは偏った俗見で、この女神は神に代わって正義を行なうものであり、報償と刑罰の両方を分配するのである。
では「ギリシャ神話(教養文庫)」には、どういうふうに登場しているのでしょう・・・花と木の神話「水ぎわのナルキッソス」という話の中に、要約するとこんな感じで登場します。
ギリシャは岩山の多い土地のやせた国なので、ギリシャ人は野の花を愛して多くの神話を作り出した。その一つがナルキッソス(水仙)というたいへん美しい青年のお話。彼の姿を見かけると、どんな娘でも心を動かされたが、ナルキッソスはどんな美しい少女がいても見向きもしなかった。森のニンフ(神の娘)の中でも一番美しいエコーが彼をすっかり好きになり夢中になりすぎて、女神ヘラの問いに満足に答えなかった。そのため、女神ヘラの怒りを買い、相手の言葉の終わりの文句をくりかえすようにしか話せなくされてしまった。それでもナルキッソスを追いかけまわすエコーだったが話しかけることができないまま、ある日、林の中でチャンスがやってきた。
ナルキッソス「だれか、そこにいます?」
エコー「います、います」
ナルキッソス「だれだい?出ておいで」
エコー「おいで、おいで」
そういいながら、木陰から姿を見せると、
ナルキッソス「なんだ、お前か。お前につかまるくらいなら、僕は死んだほうがましだ」
と背を向けると、エコーは悲しみとはずかしさで「死んだほうがましだ」といいながら洞穴に身を隠し、ついにはやせ細って、とうとう声だけになってしまった。一方、ナルキッソスは人を愛さず相手の気持ちを滅茶苦茶にするばかり、とうとうネメシスに「人を愛そうとしないものは、自分自身を愛すればいい」と呪いをかけられる。ある日、ナルキッソスが泉に水を飲みに行くと、泉に映った自分の姿に惚れ込んでしまい、つかまえることもできず、立ち去ることもできないまま死んでしまう。これを聞いたニンフたちが憐れんでナルキッソスを葬ってやろうと泉まで来ると、ナルキッソスの亡骸はなく、見たこともない花(水仙)が咲いていたので、その花をナルキッソスと名付けた。
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若かったころ、星座の話をするためにギリシャ神話を読んだのですが、本当に面白いですね。
ちなみに、ナルキッソスは「ナルシシスト」の語源になりました。
ネメシスというドラマがどう展開するのか興味津々ですが、「水仙」の花が咲いているのを見かけたら、ナルキッソスとエコー(やまびこ)の話をしてみましょう。
なお余談ですが、水仙には毒があります。
葉をニラと間違えたり、球根を玉ねぎと間違えたりと、ときどきニュースされます。
草花とか野菜とかに興味のない人にしてみれば、今どきのキャンプブームにのって、にわかに野草料理なんてことをするとありがちな話ですね。
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