徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:夢枕獏著、『陰陽師 第13巻 酔月ノ巻』(文春文庫)

2017年11月24日 | 書評ー小説:作者ヤ・ラ・ワ行

『陰陽師 第13巻 酔月ノ巻』もいつも通りの短編集です。収録作品は、「銅酒(あかがねのさけ)を飲む女」、「桜闇、女の首」、「首大臣」、「堂満、酒を馳走されて死人と添い寝する語」、「めなし」、「新山月記」、「牛怪」、「望月の五位」、「夜叉婆あ」の9編。

「銅酒(あかがねのさけ)を飲む女」は、橘盛季(もりすえ)が正体不明の「おひいさま」のところへ通い、危うく取り殺されそうになる話。

「桜闇、女の首」は、橘透子が「桃実(とうじつ)」と呼ばれる散らずの桜の下で琴を弾くうちに消えてしまう話。

「首大臣」では藤原兼家の生きている首が安倍晴明のところに運ばれてきて、体を取り戻してほしいと頼みにくる話。

「堂満、酒を馳走されて死人と添い寝する語」はタイトルの通り。

「めなし」は、糺の森で賢木参りをしていた橘為次が奇妙な女に両目を取られてしまう話。

「新山月記」は、白楽天の詩を唱えながら人を食らう虎(?)の話。出典『唐代伝奇集2』、張読「虎と親友」。

「牛怪」は、機織りの上手な幡音(はたね)とお付きの老女が牛を連れて検非違使の橘貞則の家へ身を寄せ、夜な夜な牛の持ち主を探しに行く話。実は牛宿の織女星と牽牛星のお話でした。

「望月の五位」は、東三条殿の南の築山に夜ごと丈三尺ばかりの五位の装束を着た太った男が李白の詩「月下独酌」を吟じながら徘徊する話。

「夜叉婆あ」は、狩りを生業とする兄弟が母親に喰われそうになる話。

この巻はなぜか橘さんがよく登場してますね。

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