徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:デイビッド・セイン著、『ネイティブはこう使う!マンガでわかる英会話フレーズ』(西東社)

2019年05月11日 | 書評ー言語

 期間限定で激安だったのでシリーズでそろえたうちの1冊『ネイティブはこう使う!マンガでわかる英会話フレーズ』には、省略の多い日常会話の決まり文句、言葉通りの意味ではない慣用句などが多く載っており、それぞれのフレーズが使われるシーンがマンガになっているので使い方・使える状況が分かりやすく、大変参考になりました。

「好みではない」という意味の「Not my cup of tea」でさすが紅茶の国らしい言い回しだなと感心したり、「Where's the fire?」が「火事はどこ?」ではなく「何をそんなに急いでいるの?」という意味であることにちょっと驚いたり。一部ドイツ語の言い回しとまったく同じで、英語でもそういうんだと妙に感心したり。「Keep your shirt on」が「落ち着いて」という意味であるのにも驚きましたね。

目次

ケース別!すぐ使えるフレーズ

Part 1 まずはこれだけ!基本フレーズ

Part 2 日常生活で使えるフレーズ(初級)

Part 3 日常生活で使えるフレーズ(上級)

Part 4 ネイティブが使う気の利いたフレーズ

日本語から引ける索引


書評:デイビッド・セイン著、『ネイティブはこう使う!マンガでわかる時制・仮定法』(西東社)

書評:デイビッド・セイン著、『ネイティブはこう使う!マンガでわかる前置詞』(西東社)

書評:デイビッド・セイン著、『ネイティブはこう使う! マンガでわかる形容詞・副詞』(西東社)

書評:デイビッド・セイン著、『ネイティブはこう使う! マンガでわかる動詞』(西東社)

書評:デイビッド・セイン著、『NGフレーズでわかる! 正しく伝わるビジネス英語450』(西東社)


書評:窪美澄著、『ふがいない僕は空を見た』(新潮文庫)~第24回山本周五郎賞受賞作

2019年05月11日 | 書評ー小説:作者カ行

第24回山本周五郎賞受賞作の『ふがいない僕は空を見た』はデビュー作「ミクマリ」を含む5編を収録した連作です。

「ミクマリ」は第8回R-18文学賞大賞受賞作で主人公は高校生の斎藤君。コミケで知り合った主婦のあんずと定期的にコスプレして台本通りのセックスをする爛れた生活を送る一方、母親の営む助産院の手伝いなどをする元は素直な少年。同級生の松永さんに告白されたので、あんずとの関係を切って松永さんと付き合いだしますが、結局あんずの方に戻ってしまいます。そして失恋して引きこもるというなんとも不甲斐ない青少年の物語です。

「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」は斎藤君にコスプレセックスを持ちかけたあんずを主人公にしており、夫婦ともに子供が居なくてもいいと考えているのに、姑に不妊治療を強要されて、そのプレッシャーに苦しむ話。あんず自身は勉強も苦手で仕事もうまくできなかったので専業主婦になることを目的に比較的稼ぎのいい夫(見てくれは悪い)と結婚し、最低限の家事の他はだらだらとテレビを見たりマンガを読んだりして過ごすひま人。姑に1人の人間として全く認められず、しかし孫だけは欲しいからと不妊治療を強要される状況は気の毒ですが、だからといって高校生とコスプレセックスなんて。。。うーん。

「2035年のオーガズム」では斎藤君を好きな松永七菜が主人公で、斎藤君に対する思いや、彼にまつわる妙な噂やお兄さんの妙な言動などが彼女の視点で語られます。Aカップの悩みとかセックスに対する興味などの思春期の高校生らしい悩みや出来のいい兄と比較して頭がわるい悩みとかが日常や非日常的な事件を介して丁寧に描写されています。

「セイタカアワダチソウの空」は斎藤君の親友で「セイタカ」の渾名を持つ福田良太が主人公。彼は団地に認知症の祖母と二人住まい。新聞配達やコンビニのバイトなどを掛け持ちして、祖母との二人暮らしを支えています。両親は離婚で、母親は新しい恋人を見つけてその人の部屋に入りびたりで、たまに生活費を渡しに団地に戻ってくる程度。同級生には生活の苦しさをおくびにも出さないようにしていますが、母親が借金を返せないらしく、彼の貯金まで持ち出され、音信不通になり、加えて祖母の認知症が進んで徘徊が酷くなるなど、高校生の男の子には酷な運命が襲ってきます。それでもコンビニのバイト先の先輩で元塾講師だった人に勉強を教わって、苦境から抜け出すために大学進学を決意する辺りはとてもけなげで応援したくなります。友達の斎藤君のコスプレセックスの写真を印刷したものを団地の幼馴染と一緒にばらまくという不可解な行動はちょっとあれですが。

「花粉・受粉」は助産師として働く斎藤君のお母さんが主人公。助産院の昼も夜もないきつい仕事の在り方やそれでも出産の場に関わっていたいという想い、息子の心配など働く母親の視点でその日常が描かれています。読んでるだけで疲れてくるような大変さ。

斎藤君本人とその不倫相手・彼女・親友・母親の4人のそれぞれの視点で描かれた生活や考え方や感じ方にはそれぞれにドラマがあり、大変興味深いですが、感動にまでは至りませんでした。連作であるという点では『晴天の迷いクジラ』と構成が似ていますが、内容的にはクジラの方がよかったように思います。まあ、どちらもいまいち共感できないのではありますが。

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書評:窪美澄著、『晴天の迷いクジラ』(新潮文庫)~第3回山田風太郎賞受賞作

書評:窪美澄著、『アカガミ』(河出文庫)