徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:アガサ・クリスティー(Agatha Christie)著、『Sleeping Murder』(HarperCollins)

2019年02月09日 | 書評ー小説:作者カ行

ほぼ1年前にまとめ買いしたアガサ・クリスティーの本のうちの未読の本だった『Sleeping Murder』をようやく読みました。ずっと日本語の本ばっかり読んでいたので、久々のクリスティーの英語の世界に入っていくのに少々時間がかかりました。

この『Sleeping Murder』はミス・マープルの最後の事件であり、1940年頃に執筆され、クリスティー死後の1976年に出版された作品です。「回想の殺人」を扱った作品で、21歳の新妻Gwenda Reedが夫のGilesに先立ってニュージーランドからイギリスにわたり、家を探すところから始まります。彼女がDillmouthで「これだ」と思って買った家「Hillside(ヒルサイド荘)」が、彼女に妙な既視感を催させ、改装を進める中で古い作り付けの戸棚の中から彼女が思い描いていた通りの模様の壁紙が出てきたので、怖くなってロンドンに住む夫の従弟のRaymond Westのところに行きます。そこでウェスト夫妻とレイモンドの伯母のミス・マープルともに芝居『Duchess of Malfi(マルフィー公爵夫人)を見に行き、あるシーンで「Cover her face. Mine eyes dazzle, she died young …(女の顔をおおえ、目がくらむ、彼女は若くして死んだ)」というセリフを聞くと悲鳴を上げて劇場を飛び出してしまします。そのことがきっかけで絞殺されて家のホールに横たわっていたHelenという女性のことを思い出します。最初このヘレンが誰なのか分からなかったのですが、調べて行くうちにグエンダは子供の頃に父Kelvin HallidayとDillmouthに住んでいたことがあり、ヘレンはケルヴィンの再婚相手だったことが判明します。ヘレンが本当に殺されたのかどうか、ミス・マープルはこの未解決殺人(Sleeping Murder)を掘り返すのは危険なのでやめた方がいいと助言しますが、特に夫のジャイルズが自分たちの家でそういうことがあったのかどうか分からないままほっておくことができないと言い、過去のことを調べて行きます。ミス・マープルはいきがかり上彼らの調査に協力するというストーリーです。

18年前のことでも調べると意外と記憶している人が複数いて、ヘレンは殺されたのではなく、誰かと一緒に駆け落ちしたという噂があったとか、彼女となにがしかあった男性が3人浮上してきたり、いろいろと手繰り寄せられるところが興味深いですね。田舎ならではのことだと思わなくもないですが。そうして調べて行くうちに新たな殺人が起きて、貴重な証人が消されてしまい、その魔の手がグエンダにも及ぶクライマックスはドキドキしました。

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