徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:恩田陸著、『訪問者』(祥伝社文庫)

2018年02月17日 | 書評ー小説:作者ア行

『訪問者』はいかにもミステリー小説らしいストーリー展開です。

舞台は山中の洋館で、急死した映画監督・峠昌彦の親友で顧問弁護士である井上はカメラマンの長田と共に昌彦の遺言を果たすために訪れます。敷地内には湖があり、そこで三年前、昌彦を育てた実業家・朝霞千沙子が不審死を遂げたという。現在その洋館には旧家・朝霞家の人々が住んでいて、館には「訪問者に気をつけろ」という不気味な警告状が届いていました。死んだはずの「大おばちゃま」の姿を見たと主張する少女・愛華。夜に「娘が病気だ」と聞いて突然訪れた愛華の母親。そして嵐の中死体が発見されます。翌日にはもう一人新たな訪問者が来て、嵐で土砂崩れがあり、麓へ降りられないことを伝えます。復旧には2・3日かかるため、彼らは疑心暗鬼のままその洋館に閉じ込められることになります。千沙子が船から湖に落ちたのは事故だったのか、他殺だったのか。昌彦は自分の死を予感して遺言書を井上に預けていたが、本当に殺されたのか、見かけ通り単なる事故だったのか。そして嵐の夜に洋館の屋根から落ちた男は本当に足を滑らせただけだったのか。。。

あとがきによると、著者はきっちりとしたプロットを予め考えていたわけではなく、いわゆる「嵐の山荘」、「クローズド・サークル」、「記憶の中の殺人」、「各章の出だしは同じ文章だが、毎回先の読めない展開」などの目標を立てて、展開に悩み、自分でも先が読めなかったそうです(笑)
ならば読者が先を読めなくても当然ですね。読み進むほど疑問が増えていき、一体どこに辿り着くのか気になって、一気読みしていまいました。

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