2月19日にZDFの世論調査ポリートバロメーターが発表されました。以下に結果を紹介します。
「メルケル首相の難民政策をいいと思う」:
はい 47%(+6)
いいえ 50%(-4)
分からない 3%(-2)
メルケル独首相は難民政策の軌道修正などしておらず、一貫して受け入れ上限は設けない、難民はヨーロッパ全体で一定割合で配分すべきというスタンスですが、それをいいと思うか否か、世論の方が揺れているようです。大晦日のケルンの難民による女性襲撃多発事件でメルケル支持率は一気に落ちましたが、その後また回復し、今回の世論調査では支持・不支持が拮抗するまでになりました。
「ドイツはたくさんの難民を受け入れることができる」:
はい 43%(+3)
いいえ 54%(-3)
「難民たちの社会統合は成功する」:
はい 41%
いいえ 54%
社会統合が成功するかどうかの見方は支持政党によって相当のばらつきがあります。緑の党支持者は難民の社会統合に関して最も楽観的で、60%の人が「成功する」と回答しているのに対して、右翼政党であるドイツのためのオルタナティブ(AfD)支持者たちはもっとも悲観的で、たったの3%しか「成功する」と回答していませんでした。
ヨーロッパの難民政策
「ヨーロッパ全体で難民を均等に配分可能」:
はい 10%
いいえ 88%
分からない 2%
「国境検問再導入について」:
賛成 58%
反対 39%
分からない 3%
「イギリスがEU加盟国であり続けることは重要」:
(とても)重要 73%
(それほど)重要ではない 23%
分からない 4%
「トルコとの政治的協力強化及び経済支援について」:
正しい 70%
間違ってる 24%
分からない 6%
「シリア紛争は近いうちにどうなる」:
良くなる 5%
悪化する 39%
変化なし 53%
「ロシアはシリア紛争において信用できるパートナーか?」:
はい 22%
いいえ 70%
分からない 8%
「EUの現状は?」:
問題ない 4%
大きな問題がある 39%
重大な危機 48%
崩壊間近 7%
ユーロ危機、ギリシャ財政危機、イギリスのEU離脱の危機、難民危機で足並みを揃えられない、国境検問次々に導入でシェンゲン協定は実質崩壊寸前等々、問題点を挙げだしたらきりがないというのに、「問題ない」と回答する人が4%もいるのは驚きです。ニュース見てないのでしょうか?
「EUは利益をもたらす?」:
利益をもたらす 37%
不利益をもたらす 19%
一長一短 42%
政治家重要度ランキング(スケールは+5から-5まで):
- フランク・ヴァルター・シュタインマイアー(外相)、2.0(+0.1)
- ヴォルフガング・ショイブレ(内相)、1.8(-0.1)
- アンゲラ・メルケル(首相)、1.1(+0.1)
- グレゴル・ギジー(左翼政党)、0.7(+0.2)
- ハイコ・マース(法相)、0.7(+0.2)
- ジーグマー・ガブリエル(経済・エネルギー相)、0.7(+0.1)
- トーマス・ドメジエール(内相)、0.6(+0.1)
- ウルズラ・フォン・デア・ライエン(防衛相)、0.3(-0.1)
- ホルスト・ゼーホーファー(CSU党首・バイエルン州首相)、0.3(-0.1)
- ザーラ・ヴァーゲクネヒト(左翼政党)、-0.7(-0.1)
連邦議会選挙
「もし次の日曜日が議会選挙ならどの政党を選びますか」:
CDU/CSU(キリスト教民主同盟・キリスト教社会主義同盟) 36%(-1)
SPD(ドイツ社会民主党) 25% (+1)
Grüne(緑の党) 10%(-1)
FDP (自由民主党) 5%(変化なし)
Linke(左翼政党) 9%(+1)
AfD(ドイツのためのオルタナティヴ) 10%(-1)
その他 5% (+1)
かなり勢いに乗っていた右翼政党AfDでしたが、ここへ来て1ポイントマイナスとなりました。恐らくAfD総裁フラウケ・ペトリが、インタヴューで警官は国境で不法入国を必要とあれば武器を使っても阻止しなければならない、そのように法に定められている、と発言したことで物議を醸しだしたことや、同党総裁代理のベアトリクス・フォン・シュトルヒは女性や子供に対しても武器を用いるべきだと発言し、批判を浴びたことがマイナス影響の原因となっているのでしょう。二人とも女性なのに過激な発言で注目を浴びましたが、後になって自分の発言を「誤解された」とかなんとか、マスコミのせいにして、過激さを緩和させる方向に持っていこうとあたふたしていました。もし過激さを公に維持し続けていれば、支持率はもっと下がったかもしれません。もちろん現行法では国境警備隊が不法侵入者に対して武器の使用が許されるのは、侵入者自身が武器を持っている場合に限られており、非武装の難民に対して武器を向ける警官など一人もいません。
「CDU/CSUとSPDの連立政権は2017年までもつか?」:
はい 75%
いいえ 21%
わからない 4%
「現政権の満足度 (スケールは+5から-5まで)」:0.5
この世論調査はマンハイム研究グループ「ヴァーレン(選挙)」によって行われました。インタヴューは偶然に選ばれた有権者1.289人に対して2016年2月16日から18日に電話で実施されました。
次の世論調査は2016年3月18日ZDFで発表されます。
参照記事: ZDFホイテ、2016.02.19の記事「ポリートバロメーター」