安倍晋三首相は総選挙の街頭演説で、「全世代型の社会保障」を掲げ、「国民の信を得て敢行していく」(11日、愛知県岡崎市)などと主張しています。安倍首相への「信」をめぐり、最も深刻に問われているのは「森友・加計」疑惑をめぐる権力私物化の深い闇―。首相は街頭で、この問題を一切語っていません。
首相は冒頭解散を表明した9月25日の会見で、疑惑について「批判を受け止めながら、国民の皆様に説明しながら選挙を行う」と述べ、「選挙戦に向け、街頭で直接訴えていかないといけない」(同日夜のNHK番組)と語っていました。
それが全く口先だけだったことが、この間の街頭での首相の姿勢で改めて明らかに。そもそも疑惑解明のために召集を求められていた国会なのに、何ら審議を行わないままの「冒頭解散」自体が、疑惑隠し以外の何ものでもありません。
それは国民にも見透かされていて、解散後に内閣支持率は下落を続け、12日付「日経」の世論調査では前月比13%も下落、37%に落ち込みました。
安倍首相はこの間の党首討論で、50年ぶりの獣医学部新設(愛媛県今治市)をめぐり、「一番のポイントは私から指示されたという人は誰もいない」(9日、TBS番組)などと述べています。しかし、首相秘書官や首相に近い文科相の関与が明白となっています。疑惑渦中の人たちが「首相の指示」を否定したからといって、疑惑がないといっても通りません。
憲法破壊の暴走の果てに、強権を背景にした権力の私物化で、もはやまともな法治国家とは言えない状況に日本の政治は陥っています。無反省な安倍自公政権には退場してもらうしかありません。