犯罪行為がなくても「計画」するだけで処罰する「共謀罪」の導入を政府が新たにねらっている問題で、日本弁護士連合会(中本和洋会長)が9月29日、国会への「共謀罪」法案提出に反対する市民集会を都内で開きました。マイクを持った参加者は「危険な立法を実現させないためには、法案提出をさせないということが重要だ」などと指摘しました。
この問題では、盗聴法拡大や司法取引制度の導入などの刑事司法制度改悪に反対してきた市民団体・法律家団体も国会開会日の9月26日に国会内で反対集会を開いており、「共謀罪」反対で幅広い団体の共同が広がっています。
政府は2003年以降、3度にわたり共謀罪法案を国会に提出しましたが、「行為でなく思想・内心を処罰する」などの批判が根強く、いずれも廃案になった経緯があります。
この日は日弁連共謀罪法案対策本部の海渡雄一副本部長が「心の中で犯罪の意思を決め、誰かとそれで一致したら罪が成立する。実行を取りやめても処罰される。これが共謀罪の一番恐ろしい点だ」と語りました。
政府は今回、罪名を「テロ等組織犯罪準備罪」と変えて提出するとみられています。同本部の山下幸夫事務局長は「テロ対策だという装いによって国民の批判を弱めようとしている」と指摘しました。
ジャーナリストの青木理(おさむ)さんが講演し、「安倍政権は秘密保護法や安保法制などで警察、自衛隊といった実力組織に次々と強力な『武器』を与えてきた。あげくの果てに共謀罪まで。危機感、恐怖心を持つ」と警鐘を鳴らしました。
日本共産党の畑野君枝衆院議員も参加し、「法案の国会提出阻止のため、世論を大きくするよう頑張る」とあいさつ。民進党の逢坂誠二衆院議員も発言しました。