トランプ米政権下で初めての日米外務・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2、17日=日本時間同日深夜)は、北朝鮮による核・弾道ミサイル開発を大きな背景として開催されました。
共同発表は、北朝鮮の「脅威」を「抑止し、対処する」ための「同盟の能力強化」を強調。その「指針」(英文ではガイダンス)として、日米軍事協力の指針(ガイドライン)と安保法制=戦争法のさらなる具体化が示されます。
さらに、(1)情報収集・警戒監視・偵察(ISR)(2)訓練及び演習(3)軍事研究・開発(4)能力構築(5)基地の共同使用―が列挙され、日本の役割拡大が強調されます。
共同発表では具体的な言及はありませんが、小野寺五典防衛相は10日の衆院安保委員会で、日本の上空を通過してグアムに向かう弾道ミサイルに対して、集団的自衛権を行使して対処する可能性に言及。5月に実施した「米艦防護」の拡大や「ミサイル防衛」関連装備の新たな導入など、北朝鮮情勢を利用しての「戦争する国」づくりが加速する危険があります。
しかし、こうした「同盟強化」では北朝鮮情勢が打開できないばかりか、「軍事対軍事」の悪循環を生み出すことになりかねません。
沖縄新基地問題 反対運動を敵視
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設については、普天間基地(宜野湾市)の「継続的な使用を回避するための唯一の解決策である」と再確認し、「可能な限り早期の完了」を強調します。
県民の根強い反対運動や、沖縄県による工事差し止め訴訟の提起などを無視し、県民の民意を踏みにじったあげく、「一層の遅延が同盟の能力に及ぼす悪影響に留意」とすることも重大です。新基地反対運動を敵視するかのような表現は、現地で反対運動を暴力的に強制排除している安倍政権の強権姿勢を露骨に表しているといえます。
同時に、こうした強権的な姿勢は、県民や全国からの支援による粘り強い運動で、新基地建設が大きく遅れていることへの焦りの反映でもあります。
現行の日米合意は普天間返還時期について、「2022年度又はその後」としていますが、これはほぼ不可能です。一方、米政府監査院(GAO)が4月に公表した報告書で示された米国防総省の工程表では、辺野古の工事は少なくとも26年まで続くことが示されています。
日米両政府は、こうした矛盾を脅しめいた言葉で覆い隠しているともいえます。