米国や財界の原発推進の要求に呼応するように安倍晋三首相は昨年、原発売り込みでトルコを2度も訪問し、原発輸出セールスの先頭に立ってきました。
秘密法以上に
エネルギー基本計画最終案の了承をうけ、「(原子力規制委員会の)厳しい基準で安全と判断されたところは再稼働したい」(昨年12月20日のTBS番組)と宣言。参院選初当選組の自民党参院議員との昼食会(同11日)で、「電力の安定供給には(原発)再稼働が必要だ」「ここが踏ん張りどころだ。決断するときには秘密保護法以上に国民世論は厳しくなるかもしれない」と世論に挑戦する決意まで語っています。
規制基準に基づく再稼働審査のハードルを下げる狙いで昨年末(12月25日)には、自民党原子力規制に関するプロジェクトチーム(PT)が原子力規制委員会・田中俊一委員長に申し入れ、異例の面談。PT座長の塩崎恭久衆院議員は、電力会社はじめ原子力の利害関係者からの積極的な意見聴取を規制委に求め、規制委の「生まれ変わり」を期待する提言を田中委員長に手渡しました。
強引な原発推進の動きには自民党内からも異論が出ています。
「脱原発をめざす首長会議」主催の勉強会(同15日)で、河野太郎衆院議員は基本計画案に対し「見るも無残な、恥ずかしい素案が出てきた。エネ庁(経産省資源エネルギー庁)の人たちには福島の事故はなかったもんなんだろうか」と述べました。河野氏が代表世話人を務める自民党のエネルギー政策議員連盟は、同計画案の見直しを求める提言を年末にまとめました。
正念場迎える
原発ゼロ、再稼働反対の運動は全国に広がり、安倍政権と対峙(たいじ)しています。首都圏反原発連合が主催した年末の「12・22再稼働反対☆国会大包囲」行動(12月22日)には、東京・日比谷野外音楽堂や国会正門前などに1万5000人規模の人々が参加しました。
原発再稼働ゼロで年越しとなりました。原発推進の暴走は世論との矛盾を一層深めることになり、再稼働に踏み出す安倍政権との対決は年始から正念場を迎えています。
(おわり)