厚労省は12日、認可保育所に申し込みながら入所できない待機児童数が4月1日時点で2万1371人だったと発表しました。認可保育所の定員は前年同期比で4万6905人増え233万5724人となりましたが、利用者が増えたため、前年同期より1370人減少するにとどまり、依然として高水準となっています。
首都圏、近畿圏の7都府県と政令指定・中核市で全体の78・4%を占めます。都道府県別では、東京(8672人)、沖縄(2160人)、千葉(1251人)、神奈川(1079人)の順に多くなりました。
ただこの数字には、地方単独の保育事業に入所する子ども数は含まれておらず、東京都では9266人が待機児童としてカウントされていません。地方単独事業の子どもを含めると待機児童数は4万1748人に跳ね上がります。(表参照)
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自治体別では、世田谷区(1109人)、大田区(613人)、仙台市(570人)の順となりました。昨年の4月時点では695人で全国ワースト2だった福岡市は「ゼロ」とする一方、昨年「ゼロ」を達成したと表明した横浜市は20人でした。
年齢別では、3歳以上が15・5%の一方、0~2歳が84・5%でした。
厚労省はまた、安倍政権が13年度から5年間で待機児童ゼロを掲げた「待機児童解消加速化プラン」の集計結果を公表しました。
小規模保育施設(定員19人以下)や認可保育所などをあわせた受け皿は、14年度末までに約19万1000人分増える見込みを示しました。
解説
「待機児童解消加速化プラン」 保育の質危うく
厚労省が発表した待機児童数は、実態を反映したものとはいえません。東京都の認証保育所など地方単独事業に入所している子どもたちは含まれておらず、各自治体が報告している待機児童数にも問題があります。
横浜市は昨年、育休を延長している人などを算入せず、市独自の定義で「ゼロ」としていましたが、独自の解釈で待機児数を少なく見積もっている自治体がみられます。
今回「ゼロ」になった福岡市は、特定の園を希望している児童を除外し、認可保育所に入所できない子どもが1122人もいます。同じく「ゼロ」の京都市も除外しています。
同省は今年度末までの受け皿を「おおむね達成」としますが、13年度は認可保育所の定員増は4万7千人分。残りは、直接契約の認定こども園(7000人)や小規模保育(4000人)などです。
新制度では、小規模保育は保育士がゼロでも運営できる施設が作られており、待機児童の大多数を占める0~2歳の受け皿と位置づけられていることから保護者の間に大きな不安が広がっています。
希望するすべての子どもに等しく保育が保障されるよう、質の保障された認可保育所の整備をいっそう急ぐべきです。