国会で審議中の医療・介護総合法案に関して、全国の210地方議会が「生活を奪う」「受け皿がない」などとして介護保険「改革」に反対や批判、強い懸念を表す意見書を可決していることが9日までに分かりました。政府・与党は中旬にも同法案の衆院通過をねらっていますが、国民無視の暴走は許されないことを示しています。
法案は、「要支援者」向けサービスの多くを市町村に丸投げし、特別養護老人ホーム入所者を要介護3以上に制限するなど、介護保険をさらに使えない制度に変質させる大改悪を盛り込んでいます。
北海道では、3分の1を超える自治体が意見書を可決。「地域格差が生じ、サービス低下や利用料の値上げにつながりかねない」(道議会)、「自立した生活を奪い、介護保険本来の趣旨に反する」(根室市)、「市町村には『受け皿』がなく、格差が生じる」(浦幌町)と厳しく批判しています。
18議会が可決した長野県では「理念を壊しかねない制度変更であり、市町村の財政負担も軽視できず到底容認できない」(阿智村)と強調。他の県でも「増税と負担増・給付抑制の二重負担は生活への不安をあおる」(奈良県天理市)、「国の責任で制度の持続可能性と公平性を確保すべき」(三重県亀山市)と強調しています。
都市近郊の自治体からも「高齢者の重症化が進み、介護保険財政を圧迫する」(神奈川県鎌倉市)、「介護の社会化に逆行し、制度の理念を否定するも同然」(東京都武蔵野市)との声が上がっています。
県議会レベルでも「急激な制度変更は事業者や市町村に大きな混乱を生ずる」(福島、石川、和歌山、佐賀など)と強調。サービス抑制をまねく「事業費の上限設定」の見直しや、介護人材確保の財源確保を強く求めています。