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13年から「内戦の可能性」 ― 南スーダンPKO日報 「戦闘」明記 

2017-06-22 | 嘘とごまかし政治はいずれ崩壊する

 南スーダンで大統領派と副大統領派の最初の武力衝突が起きた2013年12月、同国の国連平和維持活動(PKO)に派遣されていた陸上自衛隊が作成した「日々報告」(日報)に、各地で「戦闘」が激化し、「最悪の場合内戦となる可能性も否定できない」と記していたことが分かりました。

 赤旗紙の情報公開請求に対して、防衛省が13年12月~14年1月分の日報を開示しました。同省はこれまで、2回目の大規模な戦闘が発生した16年7月前後の日報を公開。自衛隊が駐屯する首都ジュバなど全土での「戦闘」発生が生々しく記録されており、「発砲事案」などとして戦闘を否定していた国会答弁が虚偽であることが明らかになっていました。しかし実際は、安倍政権は13年当時から国民を欺いてきたことになります。

 同年12月15日夜、ジュバ中心部で激しい銃撃戦が発生。キール大統領は「(マシャール副大統領による)クーデターの陰謀があった」と発表しました。当時、派遣されていた第5次施設隊が作成した日報は、「16日日本隊宿営地で断続的な射撃音確認、射撃音激化」などと記録。「宿営地内外において被弾する可能性が高まるため、確実な部隊防護及び装具の装着が必要」としています。

 その後、ジュバの情勢について「戦闘は一部に限定している」「本格的な戦闘行為は終結した可能性もある」などと記しているものの、銃撃音や戦車の展開が続きます。1月16日夜から17日にかけて、射撃音77発が確認されています。

 一方、13年12月19日付は「南スーダン全般としては混乱が拡散している」と指摘。20日付は「全土が混乱状態となり、最悪の場合内戦となる可能性も否定できない」と強い危機感を示しています。

 年が明けてからも連日「和平合意の目立った進展が見られず、戦闘が今なお継続」(1月14日付)と記載。27日付以降、「自衛戦闘と主張する両者の戦闘は継続する可能性大」と記述しています。

図

(図)大統領派・副大統領派の激しい戦闘が発生した2013年12月16日のジュバ市内の治安情勢を記した日報

 

南スーダン日報 「戦闘」13年から全土に
         ― 戦争法ありきで 国民・隊員を欺く

今回、明らかになった陸上自衛隊・南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣隊の「日報」(2013年12月~14年1月)は、キール大統領・マシャール副大統領派の最初の武力衝突が発生した時期のものです。


写真

(写真)戦闘から逃れ、自衛隊宿営地に押し寄せる避難民(2013年12月16日付日報。写真下は時刻)

「5原則」は崩壊

 1面報道のように、日報には首都ジュバでの銃撃戦を契機に「戦闘」が全土に広がる情勢が克明に記されています。政府は、PKO参加にあたり「紛争当事者間の停戦合意」など5原則を定めましたが、日報に記載されている情勢を見れば、参加の前提となる5原則の崩壊は明らかです。

 実際、政府はこの時期に「緊急撤収計画」を決裁し、撤収に備えていました。ところが、南スーダンPKOの参加各国がとどまったことから、撤収を見送りました。

 その後、政府は15年の安保法制=戦争法に関する国会審議でも「武力紛争が発生したとは考えておらず、派遣の前提である5原則は維持されている」などと答弁。「駆け付け警護」などPKO部隊の任務を大幅に拡大した戦争法を強行成立させました。

「日報」を隠ぺい

 昨年7月には13年末を大きく上回る規模の武力衝突がジュバで発生しました。ところがここでも、政府は戦闘の発生を否定し、「発砲事案」「5原則は維持されている」と虚偽答弁に徹します。

 さらに、当時の状況を記した「日報」の情報開示請求(16年10月)に対して、政府は昨年末、存在していた日報を隠して「破棄した」と虚偽の決定を行いました。一方、政府は同年11月、「駆け付け警護」などを付与した部隊を南スーダンに派遣し、今年5月まで活動を継続。戦争法の“実績”をつくったのです。

 防衛省は今年3月、日報隠ぺいに関する特別防衛監察に着手しましたが、調査結果が公表されないまま、国会は閉会しました。

 南スーダンでは13年末からPKO参加5原則は崩壊していたにもかかわらず、安倍政権は戦争法の強行と具体化のために国民を欺き、自衛隊員やその家族を傷つけてきたといえます。虚偽に虚偽を重ねてきた南スーダン派兵の真剣な総括が求められます。

南スーダンの主な動き

2011.7 南スーダンが独立、国連南スーダン派遣団(UNMISS)を創設

 12.1 自衛隊南スーダン派遣を開始

 13.12 首都ジュバで大統領派と副大統領派の戦闘発生、全土に広がる

 15.9 安保法制=戦争法が強行成立。PKOで「駆け付け警護」や武器使用基準の拡大を盛り込む

 16.4 国外に逃亡していた副大統領派が首都ジュバ入り

   7 ジュバで再び大規模戦闘

   11 自衛隊に「駆け付け警護」など新任務を付与

 17.5 自衛隊が完全撤収


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