日本共産党の志位和夫委員長は11日の記者会見で、北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり、注目すべき変化が起きていることを指摘するとともに、その流れに逆行する安倍政権の姿勢を批判しました。
志位氏は、5月に入って米国から「彼(金正恩朝鮮労働党委員長)と会うのが適切なら、私は必ず会う」(トランプ大統領、1日)、「われわれは、条件が適切なら喜んで対話に加わるし、その用意はできている」(ティラーソン国務長官、3日)などの発言が相次いでいることを指摘。8、9両日にはオスロで米元国務省高官と北朝鮮政府当局者が協議したことも示し、「これらは大変に注目すべきだ」と語りました。
さらに、中国とロシアが「6カ国協議も含む対話による解決」を呼びかけ、韓国でも「対話による解決」を訴えた新大統領が誕生したことを指摘。「対話による解決をめざす一つの流れがつくられつつある。経済制裁の強化と一体に、外交交渉に踏み切り、外交交渉のなかで北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させる取り組みがなによりも大切となっている」と強調しました。
志位氏は、こうしたなかで、日本政府が「(6カ国協議は)なんの解決にもつながらない」(安倍晋三首相)、「対話は現状では不可能」(岸田文雄外相)などと対話を否定していると指摘。さらに安保法制=戦争法を初めて発動して「米艦防護」を実施するなど、軍事対軍事の悪循環を加速していることをあげ、次のように述べました。
「対話の機運が起こるなか、日本だけが対話を否定し、北朝鮮問題を『戦争する国づくり』に利用している。これは、憲法9条をもつ国の政府のやることではない。態度を根本から改め、対話と交渉による解決を働きかけるべきだ」
6カ国協議早期再開を
― 中韓首脳が電話会談で一致
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)新大統領は11日、習近平・中国国家主席と電話会談しました。両氏は北朝鮮の核問題解決のために6カ国協議の早期再開で一致。文氏は「圧力と交渉の並行」を提案しました。10日のトランプ米大統領との電話会談では問題解決へ緊密に協力することを確認しました。
文氏はそれぞれの電話会談で、早期に直接会って会談することで合意しました。韓国メディアによると、6月に文氏が訪米する計画。中韓首脳会談に向けては、近く相互に特使を派遣して調整を進めます。
米国は「北朝鮮が対話の道に復帰するよう圧力を増大させる」のが当面の方針。中国は「対話と協議」を優先させる立場です。
韓国大統領府の発表によると、文氏は「北朝鮮核問題の解決は包括的・段階的に進め、圧力・制裁と交渉を並行させなければならない」と強調し、「制裁は北朝鮮を核廃棄のための交渉の場に引き出すことが目的」だと述べました。
中国外務省によると、習氏は「対話と協議を通じた北朝鮮問題の解決を堅持する」と強調。「韓国も含めた関係国と共に、朝鮮半島と地域の平和と繁栄に向け努力を続けたい」と語りました。
文氏は「中国と共に、6カ国協議の早期再開などの方法を通じて、朝鮮半島非核化の目標を実現したい」と応じました。
また習主席は、高高度防衛ミサイル「THAAD」の在韓米軍配備を念頭に、「韓国の新政府が中国側の関心事を重視し、実際の行動で両国関係の健全で安定的な発展を進めるよう望む」と要請。
韓国側発表によると、文氏は「中国側の関心と憂慮は十分に理解している」と述べた上で、「北朝鮮の挑発行為がなくなれば、THAAD問題の解決が容易になる」と指摘。同時に、中国に進出している韓国企業に対する報復措置が「円満に解決される」よう要請しました。
文氏は、THAAD問題が対北朝鮮政策での協調に悪影響を与えてはならないとの考えを表明し、「THAADと核問題を協議するために、別々の代表団を中国に派遣する」と習氏に伝えました。