学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の幹部3人が2015年6月に国家戦略特区ワーキンググループの会合に出席しながら議事録から削除されていた問題で11日までに、愛媛県の担当課は赤旗紙の取材に、「加計学園ありき」で進めてきたので学園側が出席したとの認識を示しました。国家戦略特区で獣医学部設置を提案した当事者の県が、同学園が前提だったと認めたことで、安倍晋三政権の「加計学園ありきではない」という説明があらためて問われています。
加計学園側が会合に出席した理由について、愛媛県の地域政策課長は、今治市が「加計学園ありき」で一緒に進めてきたからだと説明。「構造改革特区の時代から、今治市と加計学園は事業実施主体として一緒にやってきた」と述べました。
獣医学部設置の旗振り役だった愛媛県の加戸守行元知事は国会(7月10日)で、「愛媛県にとっては12年間加計ありきだった。今さら1年、2年の間の加計ありきでない」と述べています。愛媛県としても、この答弁を追認した形です。
愛媛県と今治市は07年に構造改革特区で加計学園を設置主体とした獣医学部新設を提案。計15回申請したものの採用されず、内閣府の勧めで15年6月に国家戦略特区に切り替えました。
内閣府は国家戦略特区では、▽事業者が最後に決まる▽決定前に事業者と協議していない、などから「加計学園ありきではない」と国会で説明してきました。
加計学園が事業者に決まったのは今年1月20日。実際には内閣府が1月4日の事業者公募で広島県・今治市区域に限定しており、事実上、加計学園しか応募できない状況でした。
また同課長は、15年6月の会合で加計学園側が獣医学部を今治市に設置したいと発言していたとも説明。内閣府が決定前に事業者と協議した疑いがあり、「加計学園ありきでない」とする内閣府の根拠が崩れた形です。