参院農林水産委員会は4月27日に農業競争力強化支援法案の参考人質疑を行い、農業者などに対する「努力義務」や、環太平洋連携協定(TPP)のような輸入自由化のなかで出された法案に、参考人からは「一体だれのための法律か」と批判が相次ぎました。
横浜国立大学の田代洋一名誉教授は「農業者への過剰な国家の介入法であり、TPPの事後処理法」だと指摘。国内農産物に行き過ぎた輸出競争力を求める貿易至上主義からの脱却と、農産物の多様性や自給率向上を求めつつ、直接所得支払い制度の充実こそ重要だと主張しました。
宮城県農民運動連合会の鈴木弥弘事務局長は「農業は農地を保全して自然環境を守り、食料を供給する貴い仕事」だと強調。地域で共存共栄し、日々創意工夫して生産に励む農業者に「努力義務」を強いる法案に「努力など言われるまでもなく、理解に苦しむ。望んでもいない法律だ」と批判しました。
日本共産党の紙智子議員は、農業を国の基幹的産業に位置付ける党の政策を紹介し、「いまの農政にもっとも必要な施策は何か」と質問。鈴木弥弘氏は「農家の個別所得補償制度の復活」を、愛知県碧南市で露地野菜農園を営む鈴木啓之氏は「農業機械の購入や人材育成など、直接的な支援」をそれぞれあげました。