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きょうの潮流

2017-09-14 | コラム

明治初めに欧米諸国に派遣された岩倉使節団は米首都ワシントンで特許登録事務所を訪れています。見学したのは電信機などおびただしい数の発明品。「名称を並べたてるだけでも疲労困憊(こんぱい)しそうである」と驚きました(久米邦武編著『米欧回覧実記』)今も無数の特許が出願される米国。オバマ前大統領は発想の豊かさの根底には意欲ある人々を受け入れる「移民の国」の歴史があると説明しました。軍事技術など社会進歩に逆行する発明は称賛できませんが、移民受け入れと創意工夫の豊かさの関係はよく指摘されるところですその「移民の国」を揺るがす政策をトランプ大統領がまたもや打ち出しました。子どもの頃に親に連れられて米国に不法入国した若者の在留を認めていた制度を撤廃します。本国送還の恐れがある人は約80万人オバマ前政権が導入した同制度により彼らに進学や就労が認められてきました。すでに米国社会に根付いた仲間を追い出す動きに企業や大学などから「正当性も慈悲深さもない」「彼らのためにたたかう」と批判がやみません彼らは親に連れられて米国に来ただけで本人に罪はありません。最初から選択の余地がなかった人々を追放するやり方はあまりに残酷です未来を担う若者を失えば豊かな研究も発明も不可能だ。こう危惧する約700校の大学学長が出した声明にトランプ氏は耳を傾けるべきでしょう。「米国で育ち、教育を受けた彼らは米国の一部。彼らこそ米国の将来に不可欠な人たちだ」

 

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