厚生労働省は18日、改定生活保護法の運用指針となる省令を当初案から大幅修正の上で公布しました。当初案には、生活保護の締め付けに反対する世論と運動によって引き出された国会答弁などに反する内容が書き込まれていました。今回の修正は1166件にのぼるパブリックコメント(公募意見)や日本共産党の国会論戦が行政を動かしたものです。
2月末に厚労省が公表した省令案は、口頭でも認められる生活保護の申請を、身体障害で字が書けないなど「特別な事情」に限定したり、申請時に申請書の提出を求める表現になっており、「運用は変わらない」と言明した国会答弁にも反する内容でした。公布された省令では、「特別の事情」を削除。これまで通り、口頭の申請も認められる内容に改められました。
保護を始める際に親族に通知するなど扶養義務を強化した点も、国会答弁では「(扶養義務は保護の)前提ではない」と明言。ところが省令案では、配偶者から暴力を受けているなど3ケース以外は通知するとし、原則と例外が逆転していました。省令では、通知をするのは暴力を受けていないなど極めて限定的な場合に限られることを明確にする表現に改められました。
省令案については日本共産党の高橋ちづ子衆院議員が、国会答弁にも反すると追及(3月7日)。田村憲久厚労相は「パブコメの意見を踏まえて心配のないように対応したい」と答えていました。
パブコメのほとんどが、保護の締め付けを懸念し、国会答弁を守るよう求める内容でした。同省は「保護を受けられない方が増えるのではないかと心配する数多くのご意見をいただいた」とし、「国会答弁等での説明ぶりに沿った形で修正した」と説明しています。
生活保護問題対策全国会議は「パブリックコメントを経て根本的修正が加えられることは前例がないか極めて異例」と指摘。「あきらめることなく声を上げ続ければ、政治も無視できないことを示しており、運動の大きな成果」としています。