審議尽くさず 戦後3番目の早さ
― 田村議員が反対討論
4月からの消費税増税を強行する2014年度予算案(一般会計総額は過去最大の95兆8823億円)が20日の参院本会議で自民、公明などの賛成多数で可決、成立しました。日本共産党や民主、みんな、維新などは反対しました。国民の負担をさらに増やし、大企業に減税する「逆立ち予算」は審議も尽くされず、戦後3番目の短期間で成立しました。
消費税率8%への引き上げ分だけで、史上空前の8兆円もの大増税。さらに、「消費税増税分は全額社会保障にあてる」との政府の説明に反し、年金や医療、生活保護など社会保障の給付は軒並み削られました。一方で大企業には復興特別法人税の1年前倒し廃止などで優遇し、軍事費は2年連続の増額です。
日本共産党の田村智子議員は本会議で反対討論に立ち、「収入は増えず、物価は上がり、消費は伸びない、被災地の復興・再生はまだこれから。今からでも緊急に消費税増税中止を宣言すべきだ」と主張しました。
田村氏はまた、労働者派遣法改悪案の撤回と正規雇用を原則とする労働法制の再構築を提起。自民、公明、民主の3党合意による消費税増税と一体の社会保障削減に反対しました。軍事費の異常な聖域扱いを批判し、憲法9条をもつ国として外交努力を求めました。
衆参の予算委員会審議では、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更などが焦点になりました。安倍晋三首相は解釈改憲など「海外で戦争をする国づくり」に前のめりの姿勢を示しました。
予算成立後、解釈改憲をめぐる政府・与党内の議論が本格化するとともに、改憲手続き法改定など明文改憲に向けた動きも強まります。
短すぎる審議時間 不誠実な答弁
2014年度予算は20日、戦後3番目の早さで成立しました。年度末を10日残しての成立は、小渕恵三内閣の1999年度、2000年度予算(ともに3月17日)に次ぐスピードです。
政府に対する予算委員会での質疑時間は衆院でわずか70時間と、2000年以降で3番目の短さです。参院は約60時間で、審議入りして間もなく自民が20日成立を前提に話を進め、徹底審議に背を向けました。
質疑の短さに加え、閣僚の不誠実な答弁姿勢も目立ちました。新藤義孝総務相は12日、参院予算委員長から指名を受けずに勝手に安倍首相の代わりに答弁席に立とうして制止されました。石原伸晃環境相は17日、参院環境委員会での予算委嘱審査に遅刻し、20日の予算委員会で謝罪に追い込まれました
増税反対の論陣と運動を
― 志位委員長が会見
日本共産党の志位和夫委員長は20日、国会内で記者会見し、同日成立した2014年度予算について、「国民の暮らしと日本経済に大きな災いをもたらす予算だといわなければなりません。8兆円の消費税大増税をかぶせ、社会保障の切り捨てとあわせて10兆円もの負担増です。暮らしも経済も壊し、財政も壊す。経済の大失政の引き金を引く予算です」と指摘しました。
志位委員長はこのなかで、消費税8%への引き上げに最後まで反対し、10%への引き上げにも反対を主張してたたかい抜く決意を表明しました。「財源という点では、応能負担の税制改革、軍事費や巨大開発の浪費にメスを入れてまかなうという対案を示して、増税反対の論陣と運動を発展させていきたい」と語りました。